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七節

「おかえり・・・」

沙耶がその言葉を放ったときふっと思った:今まで恭司はなにをしてたのだろう:と・・・

でも、今はそんなこと関係ないとばかりに恭司の胸で泣きはらした

「沙耶さん・・・あのぉ・・・説明していただけませんか?」

突然に学年主任である筒井先生が割って入る

彼女は突然のことで話がよく見えない

「あっ・・・すいません・・・お見苦しいとこを」

沙耶は慌てて目元の涙を拭う

「いえいえ・・・あの・・なんだか私には話がよく見えないのですが・・・・」

沙耶は目元の涙を拭いおわると彼を紹介するような仕草をとって言った

「彼の名前は響 恭司(ひびき きょうじ)君です」

「彼は私の幼馴染であるんですが・・・10年前に突然の行方不明となった人です」

それから簡潔に、なおかつ大切な部分をなるべく押さえて説明をした




「なるほど・・・」

筒井先生は説明を受けると彼に向きさっきの謝罪をした

「先ほどは助けてもらっておきながら礼儀ならまだしも敵意を持ってあなたと接した事を深くお詫びします」

筒井主任は恭司に向けて頭を下げた

恭司は少し戸惑ってから

「いいんですよ、俺は人に頭を下げる覚えはあっても下げられる覚えはありませんから」

なれない精一杯の敬語を使って「どうか頭を上げてください」と促す

「本当に先ほどは失礼いたしました」

一応頭は上げてもらったがこのまま居たらまた下げられそうなので恭司は話をそらした

「取り合えず俺はこれで失礼します・・・」

恭司が言う

「待ってください!」

沙耶が恭司を引き止める

「ん?どした?」

「少し待っててもらえますか?」

沙耶は恭司を背にして筒井先生に言った

「今日は早退させてもらってもいいでしょうか?」



10分後・・・



「お待たせ、恭ちゃん」

「いいのか?」

「へ?」

「学校だよ」

「良いんです」

「まあ、お前がいいって言うならいいんだろうが」

「それよりきょうちゃんに話したいことがあります」

恭司は、何だ?という顔をしている

「きょうちゃんが行方不明になった後のことを説明させてほしいので早退しました」

そう聞いたとたん恭司の表情は険しくなった・・・・



5分後


二人は学校の近くのオープンカフェにいた

「えっと・・・まず・・どこから話したらいいでしょう?」

沙耶は今まで恭司に会うことを考えてはいたが、いざ会ってみると何を話すかを考えてはいなかった

それを察した恭司は先に質問をした

「俺の親父とお袋はどうなった?」

沙耶がバツが悪そうな顔をした

その顔を見た恭司はすべてを察した

「やっぱりか・・・」

「きょうちゃんがいなくなった日におじさんとおばさんの死体がイタリアの山奥の別荘で見つかったって聞いたの」

「イタリア・・・」

恭司はアノ日のことを思いだしていた・・・できれば思い出したくない記憶を



あの時の手についた血の感触・・・両親の胸に穿たれた穴・・・そして自分の胸にも穿たれた穴

そのときの傷跡はまだ自分の胸元に残っている・・・・


「・・・ちゃん?」

「きょう・・ん?」

「きょうちゃん?」

沙耶が何かもの思いにふけってぼ〜っとしている恭司に話しかける

「ん。・・・ああ」

「どうしたの・・・やっぱりショックだよね・・・ごめんね」

言いつつまた沙耶は泣きそうになる

恭司は沙耶の頭を強くガシガシ撫でる

そして静かに話しかける

「本当は、俺も少しは気付いてたんだ、これは言わせた俺が悪かった」

「ごめん」と恭司が誤る

それに少し救われたのか沙耶は恭司の一番気になることを聞いた

「今までなにをしてたんですか?」

その言葉に恭司は当たり前のように答えた

「死んでた」

・・・・・・・・・

少し長めの時間が過ぎた

「いやぁ〜お前にこっちの世界に戻されるとは思わなかったな〜」

恭司がのんきに答え切った

沙耶の顔は勿論あいた口がふさがらない

「死んでたってどういう事ですか!」

「だから死んでたんだよ」

それから恭司は今までのことを沙耶に話し始めた



「あの日俺は確かに死んでたんだ、でも暗闇の中に閉ざされて突然「声が」聞こえたんだ」

「声?」

「ああ・・声だ・・」

恭司はアノ日のことを思い出しながら沙耶に話した

「その暗闇の中で聞こえた声は俺を生き返らせてやるといってた」

「生き返らせる?」

「ああ、当然俺の答えはOKだったんだがな」

「だった?」

「それからがすごかった」

「?」

「まず俺がいたのが暗闇の中じゃあなかったんだ」

「と、いいますと?」

「でっかい図書館みたいなとこでよぉ」

それから恭司はその図書館の中のことを話した

その図書館の中にあったのが全部闇の宝典というこの世界にはない宝典があったこと

それを全部覚えたこと

さまざまな武器の扱いからすべての格闘技をマスターしたこと

勿論、学もそこで身に着けたことも・・・

恭司はそれらを語りきった時にはもう日が落ちかけていた頃だった

「そろそろ日がおちるなぁ」

恭司は気付いて沙耶に話しかける

「そろそろいきましょうか」

沙耶が恭司の片手を引く

「行くって・・どこにだ?」

沙耶が答える

「勿論・私の家ですよ」

「家って・・」

「大丈夫です、お父さんもお母さんもきょうちゃんなら大歓迎ですよ!」

それから半ば強引に恭司は時雨家に強制連行されたのだった・・・・

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