十三節
「先生!庚先生!」
沙耶が叫ぶように庚を呼ぶ
「どうしたんですか!?時雨さん」
庚が驚いた顔で沙耶に返す
「先生、さっきの話なんですが、もし、契約体がこの世界にいる場合はどうなるんですか?」
「その場合は召還契約ではなくて、従者契約になりますねぇ」
「従者契約?」
沙耶は聞いたことのない言葉に戸惑う
「まだ、時雨さんは1年生だから召還契約までしか習ってませんでしたねぇ」
庚が説明をはじめる
「2年生ぐらいから習いますが、従者契約とは、まあ、読んでのとうり自分との主従関係の契約になります、主従の契約とは、主からの宝力や、そのほかの能力などを得ることができますが、契約にはかなりの負担がかかります、ですからその契約をする契約体もしくは契約者の肉体や精神が崩壊する恐れがあります。」
庚は沙耶に分かりやすいように丁寧に説明した
沙耶はその話を聞いて
「では、召還契約のように契約をするとなるとその契約に必要になる代価がいるんですか?」
「はい、いりますよぉ」
庚はサクッと答えた
「では、その主従契約に必要な代価とはなんですか?」
沙耶はこの世界じゃ手に入らないものではないかと思いドキドキしながら聴いた
「それは・・・魂です」
庚の言った言葉に沙耶は唖然とする
「魂ですか?」
「はい、魂です」
「えっ、た、魂って人が持ってる魂のことですか?」
沙耶の頭の中はわけの分からない状況になっている
「そうです、主従関係というものは古来より本に信じれるもの同士がするものであってその魂を共有できるぐらいの信頼関係が必要なものとされています、だから主従の契りとは魂の契約とも言われています」
「えっ、でも魂は存在するものの中でも一番手の届かないものではないんですか?」
「はい、そうですよぉ、魂を使っての宝典行使は禁忌ですが、その昔それができる異端の者達がいたと言うことが文献で記されています」
「異端ですか・・・」
沙耶はどこかで聞いた単語だと思ったが何処だったかが思い出せない
「ですから今の宝典技術では無理でしょう」
庚が言い切る
その言葉に沙耶が愕然とする
「分かりました、ありがとうございます。」
沙耶は肩を落として出て行く
「おっ、どうだった?」
恭司が職員室から出てきた沙耶に問う
「それが・・・」
沙耶は今の話を恭司に説明する
「異端か・・・」
「そうです異端のものたちってどこかで聴いたのですけど何処だったのかが思い出せないんですよ」
「確か章吾さんが俺の宝典が異端の力だっていってなかったか?」
恭司は沙耶に聞く
それを聞いて沙耶は「はっ」とする
「それですよ!恭ちゃん、お父様に聞いて見ましょう!」
沙耶は言うなりまた職員室に飛び込む
しばらく待つと沙耶が飛び出てくると恭司に言う
「さあ、帰りましょう!」
「ハァ?」
恭司は沙耶に手を取られるとそのまま学校を出て行った・・・




