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十節

沙耶パパと沙耶ママに自分が恭司だと伝わり恭司達は、時雨邸の中庭にいた



「恭司君」

沙耶パパがコーヒーを飲みながら恭司を呼ぶ

「はい、なんですか?」

恭司もコーヒーを飲みながら答えると

「今まで何処で何をしていたんだね?」

沙耶パパが聞いてくるので恭司も答えた

「死んでました」

聞いたとたん沙耶パパは口に含んでいたコーヒーを景気よくぶちまけた

「ぶふぅぅぅぅぅぅーーーー!!!」

「な、なんだって?!」

「だから、死んでました」

沙耶パパと沙耶ママはあいた口がふさがらない

「恭ちゃん、それはどう言うこと?」

と沙耶ママから聞かれる

恭司は「また説明せなアカンのか?」と思いながら結局説明を始めた

「まあ、話が10年戻りますけど」

「フム」

沙耶パパが聞き入る

「あの日、俺は確かに死んだんです、胸に、正確に言うと心臓に黒い槍みたいなのが刺さっていてあまりの痛さで気絶した俺は目が覚めると真っ黒な空間にいたんです。」

「空間?」

「はい、」

「そこで俺は「声」を聞いたんです」

「声かね?」

「はい、それも背筋が凍るような低い声を聞きました」

「その声は何か言ったのかね?」

「はい、俺を「生き返らせてやると」いいました」

「フム・・・」

沙耶パパは何か考え込むようにして自分のあごひげをいじっている

それを見ながら恭司は話を進める

「そこでそれを承諾した俺はその声から力を授かりました」

「力、まさか!」

沙耶パパはそれを聞くと何かを思い出したように恭司に聞いてくる

「その力とは、宝典のことではないのかね?」

「あ、はい、そうですけど、何でわかるんですか?」

沙耶パパはしばらく考え込むような仕草をして恭司に向かって言った

「恭司君、そこで授かった宝典の名は?」

「闇の宝典です」

「やはり・・・・」

沙耶パパがそれを冷静に受け止めると恭司に告げる

「恭司君、君が授かった「闇の宝典」とは過去にあった宝典物語の中にある退けられし者の宝典によく似ているのだよ」

宝典物語とは近年に見つかった過去の宝典による戦争の記録である。

「退けられし者?」

恭司はその単語をはじめて聞くので何のことだかわからない

「そうだ、「退けられし者」だ、この言葉の意味は聞いてのとうり過去の宝典戦争においてその力は異端とされたものたちの力なのだ」

「異端・・・」

「そうだ、恭司君、君は体にその力の代価を刻み付けられてないかね?」

「・・・・」

恭司は沙耶や沙耶ママ・沙耶パパを見て席を立った

そして恭司は着ていたTシャツを脱いだ・・・・

「なんですか、これは!」

最初に反応したのは沙耶だった

それもそのはず、恭司の体は心臓の辺りが何もない空間となり、さらにそこに黒い、というよりは漆黒と表すに相応しいぐらいの真っ黒な霧みたいなモノがそこを守るように覆われていた、時よりその隙間から恭司の後ろ側の景色が見える

「やはりな・・・」

沙耶パパがそれを見ながら確信したように言う

「恭司君、君は本当に死んだようだ」

「だから、さっきからそういってるじゃないですか」

「いいや、そう言う意味ではない」

「どう言う事ですか?」

恭司は沙耶パパの言ってる言葉の意味がいまいち分かっていない

「単刀直入に言う、恭司君、君は未だに死んでいるのだよ」

その言葉が出た途端に場が凍りつく・・・

「お父様、それはどう言うことですか?」

沙耶が聞くと沙耶パパは続きを話し始めた

「実際に言うと響恭司と言う人間は此処に確かに存在している、だが、それは期間的なものだ」

「期間的・・・って」

恭司は両親が死んでいるという事実よりもその事実に驚愕している

「お父様、恭ちゃんはあとどれくらいまで此処に存在できるのですか?」

沙耶が沙耶パパに質問をする

「恭司君が召還されたとき沙耶と瀬良の譲ちゃん、それに瑪瑙の譲ちゃんといったね?」

「はい、」

「いくら複数人数でする重複召還でも限度というものがある」

「限度、ですか?」

「ああ、その限度はホルダーの能力に比例するが沙耶達のようにまだ未熟なホルダーにはその限度が小さすぎるんだ、だから持って後3日が限度だろう」

それを聞いて沙耶と沙耶ママが唖然となる

「そんな・・・」

沙耶は恭司に抱きつく

「いやですっ!!・・・どうして?・・・どうしてっ!!やっと会えたんですよ!10年・・・10年も待ったのになんで・・・」

恭司の胸で沙耶が抑えきれない涙をまた流す、その横で沙耶ママも自分の娘を見て涙を流す

沙耶は父に問う

「なにか・・何か手はないんですか?」

沙耶パパは「すまない」と言ってうつむき無力な自分を悔やんでいる

それを見て恭司は

「あの、ひとついいですか」

沙耶パパに恭司が言う

「何かね、恭司君」

沙耶パパはすまなさそうに恭司の顔を見る

「その・・期間的と言われたんですが・・それは強制召還によるものですよね?」

「ああ、そのとうりだ、強制召還は即席の召還術だからね」

「なら・・・俺と沙耶が正式契約を結んだら俺は存在できるんじゃあないですか?」

沙耶パパはその言葉を聞いてハッとした

「そうか!・・・あっはは!その手があったか!」

沙耶パパは豪快に笑う

「お父様、どう言う意味なんですか?」

沙耶が?を浮かべたような表情で父に聞く

それに恭司が答える

「そうだなぁ・・・お前の友達に自分で契約した召還魔獣なんかがいるだろう?」

「はい、いますがそれとなんの・・・・アッ」

「そう、そのとうり、俺とお前で契約をするんだ」

「えっ!・・・でも、今までに強制召還された魔物や魔獣なんかと契約したって話は聞いたことがありませんよ」

「なら、俺らが聞いた事のある話にしてやろうじゃぁねーか!」

恭司が力強く沙耶に言う

沙耶は今まで直感と言うものを信じたことがなかったが恭司の言葉をなぜか信じれる気持ちが湧き上がった

沙耶は涙を拭きながら言った

「はいっ!」

「じゃあこんなことをしている場合ではない!早速資料集めと行こうじゃぁないか」

沙耶パパが携帯を取り出しながら言う

沙耶パパは、何処かに電話をするようだ

「・・・・もしもし、私だ、ああ、そうだ、すまないが召還契約に関する資料を早急に集めてくれ!・・・ああ、そうだ2時間以内だ!頼んだぞ!」

沙耶パパは電話を切ると同時に言った

「沙耶、学校の先生方の中に契約をするとき契約の繋ぎを担う先生がいるだろう?」

「は、はいいますっ!」

「よし!では、沙耶にはその先生に事情を話して早急に話をつけるんだ!」

「はっ、はい!」

沙耶はズビシィッと姿勢をのばして答える

すると恭司は・・・

「あのぉ・・・俺は何を」

「おお、恭司君は大事なことをしてもらう」

フフフと沙耶パパが不適な笑みを浮かべている

恭司は何か嫌な予感がした・・・

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