諦めと。
それから時計が一回り。相変わらずぼくの片腕はゆみりの下に囚われていて。
……これ、どうにかなんないかなぁ…
既に感覚が無くなってきた腕をなんとか引っこ抜こうと試してみるけど、相変わらずゆみりはビクともしない。
……あと4時間ぐらい、ずっとこうしてなきゃいけないのかな……
寝返りも打てず、ずっと目を閉じたり開けたりしながら、やることも無くただ上を向いていて。薄明かりの照らす天井の影が、時折ゆらゆらと形を変えてぼくのことを脅かしてくる。……ううっ、早く寝ちゃおう……と目を閉じても、耳をくすぐるのはゆみりの寝息。更に心がくすぐられて寝てなんかいられない。
……ああもうっ、どうすりゃいいんだよ!!
ここがゆみりの家だってことも忘れて叫びたくなる。でもそうしたところでどうにもなんないのは、自分がよくわかってる。だからただ、目を閉じる、開く、また閉じる、開いちゃう。
ぼくの長い夜はまだ、終わりそうにない。
それからまた、時計が半周ぐらい。
いきなりゆみりが動き出して、ぎょっとして遠ざかろうと距離を置いた弾みに下敷きの腕が開放される。よっしゃ、これでやっと寝れる。そう思ったのもつかの間、今度は足がぼくの足の上へと載せられて。しかも腕が抜けたタイミングでゆみりの方を向いてたせいで、今度はゆみりと向き合ったまんま寝返りが打てなくなって、
ど、どどどどうすれば………とあたふたしていると、ゆみりの口がもごもごと動いて、
「うぅん……パンケーキぃ……」
……呆れた。ぼくがこんなにあたふたしてるのに、ゆみりは夢の中でまで食べ物を追いかけてて。
……ぼくはこんなにも意識してるって言うのにさ……
篭っていた熱が、少しずつ室温に溶けて冷めていく。……いいさ、もう。ゆみりの事なんて考えなくて。
そっと目を閉じてふっと息を吐くと、そのまますぐに意識を手放した。




