表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/47

さらりと。

「うーーっぷ……」

「だ,大丈夫,すずちゃん……」

「お,おなかがぐるぐるするぅ……」

 気を付けないと喉のとこまで上がってきそう……これが,満腹……これが,おなかいっぱい……

「だ,だから無理しないでって言ったのに……」

「む,無理はしてないよ……ほんと」

 無理はしていない,ただお腹いっぱい食べるという経験がそれこそ数年ぶりだから,胃がびっくりしてるだけ。うぷっ。

「でも,ちゃんとお皿からっぽになるまで食べられたね。えらいえらい」

 背伸びしてぼくの頭をなでなでしてくるのを,軽く頭を振っていなす。……嫌じゃないんだけど,なんだかぼくのことを犬かなんかだと思われてるみたいで,ちょっとね。

「それにしても,すずちゃんはお腹いっぱいかぁ。とっておいたおやつ,一緒に食べようと思ったのに」

「この期に及んでまだ食べるの……?」

 ほんとに底なし沼だなぁゆみりのお腹は。

「え?ごはんの後におやつって普通じゃない?」

「それはゆみりだけだと思うよ?」

 ほんとによく食べるなぁ……そんなんだから,と視線を下げてお腹周りに目を移すと,

「ふ,太ってないもんっ,すずちゃんのばかぁ」

「まだ何も言ってないんだけど……」

 言おうとしたけど。言わないであげたのに。

「も,もうわたし寝るっ!!」

 と,赤い顔してベッドに飛び込むゆみり。

「おーい,宿題ないの?」

「忘れてたっ」

 また飛び起きる。なんか忙しいなゆみりは。

「えーと,えーっと」

 カバンをごそごそ。横目に見えたのは教科書よりもスペースをとるおやつの袋。……授業中しょっちゅう寝てるぼくは人のこと言えないけど,ゆみりは学校に何しに行ってるんだろう……?

「あ,あった」

 と,勉強机の上にノートを広げて何事か書き付けていく。……さて,その間ぼくは何してようか。

「あれ,すずちゃんは宿題しないの?」

「ぼく?ぼくは宿題出てないから」

 これはウソ。あると言えばあるけど……明日茉莉花の(と,言うかあいつの親衛隊の)を写せば何とかなる。いやぁ,持つべきは友だよね。なんか違うけど。

「むー,ずるーい」

「ずるくないもーん」

 さぁて,ゆみりが宿題終わらせるまで何してようか。下に行ってゆみりママと話すか…いや,もう遅いしな。ならばそこの棚の少女マンガでも……いや,まともに読み進められそうな気がしないからパス。そうなると……と,天を仰いだり机を睨んでは「あー」とか「うー」とか唸ってるゆみりを横目で見る。開いたワークのページはさっきから真っ白なまんま。これじゃ当分終わりそうにないね。……しょうがないか。

「ゆみり,手伝うよ」

「えっ,いいの?」

「さっきから全然進んでないじゃん。このままじゃ唸ってるうちにおばあさんになるよ?」

「なんないよっ!……でも,お願い」

「はいはい」

 ゆみりの後ろからのぞき込むと,髪が一束はらりと肩に落ちて,さっきのシャンプーの香りが微かに香って,

「……すずちゃん?教えてくれないの?」

「あぁ,うん,今教えるっ……」

 ……やっぱりちょっと慣れないな,この距離感。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ