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張り合い?

さて、ゆみりいじりも程々に。

壁の方を向いて湯船に座り込むと、後ろでゆみりがモゾモゾと動いて、ぼくの背中がなにかに触れる。…………あ、これ、ゆみりの背中……?

「………………」

「………………」

は、話すこと無いな…………どうしよ……

「あ、あのさゆみりっ」

「な、なぁにっ?」

「いや…………お風呂、暖かいなって」

「う、うん…………」

…………おい、もっと他に話すこと無いのかよ。早速話が終わっちったじゃねぇか。

「ね、ねぇ、すずちゃん」

「ん、な、なに……? 」

「すずちゃんはさ…………私のこと、どう思う? 」

背中越しにゆみりの動揺が伝わる。

「どう、とは? 」

「…………私のこの身体…………おデブだし、食べてばっかりだし」

「なんだ、そんなことか」

「なんだって、すずちゃんっ、私は本気で」

バシャリと水を跳ね上げてゆみりが立ち上がろうとして、ぼくが湯船の壁の方に押し付けられる。

「ぐえっ!?」

「す、すずちゃん大丈夫? 」

「き、急に立ちあがんなよっ」

文句を言いながら振り向くと、ちょうど目の前にゆみりの足の付け根が見えて、

「っ!? 」

慌てて目線を逸らす。…………こ、ここって、こんなふうになってたのか…………

「きゃー!? すずちゃんのエッチー」

「う、うるさいっ、こんなの不可抗力ってやつだー!! 」

じたばたもがもが。お湯も溢れてバシャバシャ。

「…………あーもうっ、ぼく上がるからっ」

もうやってらんなくなって、湯船を跨いで脱衣場に逃げる。結局全然温まれなかったな。

さて、ぼくの服は………………って、ええええ!? ここに置いといたぼくの服はっ!?

背後のモーターの音に鈍い動きで振り返って、ゴウンゴウンと回る洗濯機の中を恐る恐る覗き込むと、ぷかりと浮き上がってきたのはさっきまで身につけてたぼくのライムグリーン。…………まさかぼく、この後『付けない』『穿かない』で帰るの…………?

「あら~、ちょうど上がったとこ? 」

「ひいんっ!? 」

いきなり開いたカーテンに驚いて飛び上がって、慌てて端っこを掴んでカーテンを体に巻きつける。

「あらあら、驚かせちゃってゴメンなさいね。着替えとタオルここに置いとくわ~」

と、洗濯機の上のカゴに一式バサッと置いていくゆみりママ。

「あ、ついでにゆみりの分も」

こっちもぽすんと置いていく。

「ごはんももうすぐ出来るから、早く来てね~」

と言い残して去っていく。

…………着替え、ね…………置いていかれた服を拡げて一通り眺める。パジャマはなんだか可愛らしい薄ピンク。それはいいんだけど、この…………下着セット…………タグも無いし、これ、ゆみりのじゃ…………

「ふぅ…………わっ、すずちゃん!? 」

「きゃぁっ!? 」

思わず変な悲鳴上げて、とっさにまたカーテンを纏おうと引っつかむけど、その手は空を切る。ゆみりが先に巻き付けてた。

「か、返せよそのカーテンっ!! 」

「やだっ、これうちのだからっ」

…………なんだろう、これ何回目だ……

「…………いいよもう、どうせ着る時は持ってられないんだし……」

と、カーテンを諦めてタオルを手に取る。こっちはどうやら新品のようで、ふんわりとした柔らかさが心地いい。

ゆみりもカーテンを手放してタオルを手に身体を拭いていく。でもその視線はやっぱり僕に向いていて、お返しとばかりにぼくもゆみりのことを眺めてやる。

「…………ゆみり、縮れっ毛」

「うるさいよっ!? …………すずちゃんなんか、もっとふわふわで」

「そっちこそうっさいな!?」

…………一体ぼくらは何を張り合ってんだか……

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