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ゆみりを拾って。

ホームルームが終わるのとほぼ同時に、ぼくは教室を後にする。…………あ、しまった、ゆみりと落ち合う場所のこと考えてなかった。まぁいっか、隣のクラスだし。

さーてと、ゆみりはホームルーム終わったかなっと。ひょこりと覗くと、ちょうど向こうも終わったばっかりのようで、…………あれ、居ない?

出てくる人の群れに抗って、半身をドアから突っ込んできょろきょろと探してみる。…………居ないや。

「あれ? ゆみりは?」

とりあえずその辺にいた子に聞いてみると、

「なんで私に聞くのよ、タオルも返してもらってないし」

とキツめに返される。いや、なんでだよ。

「ゆみりちゃん? お昼休みから帰ってきてないよぉ」

と別の方向から声が飛んでくる。…………昼から帰ってきてない? おかしいな、じゃあさっき見たゆみりは…………

「あ、帰ってきた」

と振り向くと、そこには確かにゆみりが居て、

「……って、なんかフラフラしてない? 」

確かにゆみりなんだけど、いつもの明るさが全然なくて、

「待ってたよ。どうしたのゆみり、元気ないね」

「…………あ、すず、ちゃん…………」

よろよろと視線を上げたゆみり。でもその視線はなんだかぽーっとしてて、

「…………ゆみり?」

肩に手を置いてみても反応が無くて、……って、冷たい…………一体今までどこに……

これは、ただ事じゃないぞ……

「どうしたのゆみりっ、ゆみりっ!?」

軽くゆさゆさと揺さぶってみるけれど反応は鈍い。もしかして……とゆみりの髪をかきあげて、ぼくのおでことくっつけてみる。…………やっぱしだ、熱い…………熱があるんだ……

「…………ゆみり」

「…………ひぇっ、すずちゃんっ!?」

慌ててゆみりが飛び退こうとするところを、腕を掴んで引き戻す。

「熱があるじゃないか、早く帰らないとっ」

「だ、大丈夫、だって、何ともないから、」

「なんともないわけないっ! そんなフラフラしてて……」

ほら行くよっと手を引っ張って強引に連れ出す。カバンはクラスの子達が玄関まで持ってきてくれたから受け取って、2つのカバンを抱えて校舎を出る。

「すずちゃん、いいって、大丈夫だから……」

「ダメだって、ほら歩いて」

いやいやをして全然動かないゆみりを、半分引きずるようにして歩かせる。…………なんでこんなに嫌がるんだよ。

「ゆみりさ、なんでそんなに嫌がるの?」

「やだっ、まだ帰りたくないっ! だって…………」

「だって? 」

「…………すずちゃんとお出かけしたいんだもん」

「…………あっ」

そうか、そういう事か…………なんだよ、ただダダこねてたわけじゃなかったのか…………全く、ゆみりのやつ。

「お出かけかぁ。でもその身体でお出かけはねぇ」

「やだ、すずちゃんとおでかけしたい」

ガシッと腕を掴まれる。…………全くもう、しょうがないなぁ。

「分かった、じゃあおでかけしよう」

「わぁい、やったぁ」

ぴょこぴょこと飛び上がって喜ぶゆみりの頭をぽんぽんと撫でる。

「その代わり、ちゃんと話してもらうからね? なんでこんなに冷え切ってたのか」

途端にゆみりの顔が曇る。

「…………やっぱり、話さなきゃダメ?」

「…………話したくないの?」

「ううん、そうじゃないけど……」

なんだ、この感じ……話せるけど話したくない感じか?

「…………やっぱり、話すね。実は……」

「ストップ。その続きは電車の中でね」

と、足を止める。ゆみりのパスケースで目的地はもう把握してる。さてチャージはあったかな…………うん、まだ残ってる。

先に改札をくぐっていたゆみりと合流して、ホームに降りる。そして開かれたドアに片足をかけた所でゆみりが訊いた。

「ねぇ、どこにお出かけするの?」

「んー? ゆみりんち」

「へー、わたしんちかぁ………………え、えぇぇぇぇぇっ!?」

ゆみりの絶叫が辺り一体に響き渡った…………

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