憂鬱なミライ
今回の話→ピヨ目線
「痛い痛い。本体に噛みつくんじゃない!スコマニアデビル。」
スコマニアデビルを本体からひっぺがし、怒鳴る。
スコマニアデビルはお腹がすくと直ぐにボクの本体に噛みついてくる。
本体噛むとか本当、洒落にならないよ!?凄く痛いんだよ!?
いつもいつも噛みついてくるけど毎回凄く痛いんだからね!
とかそんなコトを思いながらもニンゲン界から調達してきたお肉を渡す。
「自分で買いに行けよって言いたい所だけど…スコマニアデビルはニンゲン界に出しちゃいけないやつだ。」
スコマニアデビルの負のオーラは恐ろしい。
相当メンタルの強いヒトでなければ顔を合わせただけで狂ってしまうだろう。
はぁ、と溜め息を吐く。
全くスコマニアデビルには困ったものだ。
(いっぺんこの包丁で刺してやろうか。)
本体の片方の包丁を持っている人形を眺める。
あぁ、でもそんな事しちゃあダメだ。
ボクの非力で慎ましいキャラが崩壊してしまう。
「へぇ~。本体って触れても良いんだぁ~?」
不意に悪意のこもった声が聞こえる。
「え……。」
振り返るとまるで「いいものみーちゃった。」とでも言うかの様な凶悪な顔をしたソリッドがいた。
「あ、あれ?いつからいたのかな?ソリッド。」
「随分前からいたけど?」
素っ気ない返事をし、ソリッドはボクに何かを差し出す。
「……これは?」
ちょっと重みのある箱。
開けてみると大量に牛乳の瓶が入っていた。
(こ、コイツ…ボクが背のコト気にしてるの知ってるな。)
しかも何この牛乳瓶の数。完璧にボクのコトをなめくさっている。
「挨拶がてらキミが喜びそうな物持ってきたつもりなんだけど?」
な、何コイツ…。めっちゃ上から目線。
ちょっとボクより背が高いからって調子に乗りやがって!!
「す、スコマニアデビルの方が背、高いもんね!!」
「そうだね。キミよりスコマニアデビルの方が背、高いね。」
うわっ、ウザっ。
「ピコだっけ?ピノだっけ?」
「ピヨですー!」
「あぁ、そうだった。ヒヨコみてえな名前してんな。」
「なっ…。」
「あぁ、ちょうどスコマニアデビルもいるんじゃん。コレやるよ。」
何やらスコマニアデビルにも何かを渡している。
スコマニアデビルは渡されたモノを見て嬉しそうな表情をした。
「オマエ……分かってんじゃん!」
スコマニアデビルが喜ぶとは珍しいな。
一体何を渡したんだ?
「……ってボクの本体!?」
慌ててスコマニアデビルの手から本体を奪い取る。
「何やってくれてんだよっ!!」
ソリッドは意地の悪い笑みを浮かべて言った。
「いい暇潰しになりそう……。宜しく、ピヨ。これからが楽しみだよ。」
あぁ、そうだね。ボクはその真逆のコトを考えていたよ。
この先イヤな予感しかしない………。
「よ、宜しく……。」