挨拶3
今回の話→シイ目線
(デフォルトのまま…?)
次に来た空間は初めのボクの空間の様にデフォルト、人間界の駅の景色だった。
ここにいる人は元人間なのだろうか。
辺りを見渡す。
柱にもたれかかっている少年が目に入った。
とても見覚えがあった。
(ああ。やっぱり。)
パラレルに来たんだから姿くらい変えれば良いのに。
「やぁ。キミもパラレルに来たばかりなんだね。ボクは『感情』のシイ。キミは?」
彼はボクを見て無気力そうに答えた。
「『無』のソリッド。」
「ソリッドね。」
『無』というのは彼にお似合いだ。ソリッドはボクに気付いているのだろうか。
(………まあ、いいや。)
人間だった時と今は違う。ボクらはもう関係ないんだ。
「宜しくね!」
明るく笑って言う。
ソリッドは少しだけ驚いた様な顔をし、複雑そうな表情を見せた。
「……宜しく。」
無愛想な態度はどこかスコマニアデビルに似ている。
(気が合うんじゃない?)
心の中でくすりと笑う。
「手土産持ってきたからあげる。是非ボクの空間にも来てよ!」
ソリッドは「ありがとう。」と言ってボクから手土産を受け取る。
よし。これで全員に挨拶が出来たかな。
挨拶終わったし少し自分の空間でぐだぐだしてようかな。
そんな事を考えながらソリッドの空間を後にした。