空間カスタマイズ
今回の話→シイ目線
空間のカスタマイズにはかなり時間がかかった。
デフォルトの駅もいいなと思うし、せっかく空間をいじれるならちょっと変えてみるのも良いかもとも思う。
まぁ結局カスタマイズはした訳なんだけど。
いざカスタマイズをしてみようとなるとどんな感じにするかとても迷った。
結局出来たのは学校。でもただ学校にすると人間界と対して変わらない様な見慣れた景色になって面白くないので、ちょっとゲームっぽくドットな感じにしてみた。
せっかく空間をいじれるのだからこれからもちょくちょく換える予定。
ちょっと自分の能力を試してみたくて等身大の鏡を見る。
デフォルトの自分は青髪でショートカット、大人しそうな見た目に長いマフラーが特徴的といった感じか。
では試してみよう。
鏡の前で一回転。鏡を見るとボクの姿は変わっていた。
赤色の髪にロングヘアー。手には大きな銃を持っていて、体の周りにはふよふよと武器が浮いている。
これは怒りなどの攻撃的な感情の姿。
ボクはもう一度鏡の前で回転する。
仮面をつけていて色は無い。髪は三つ編み。
これの姿は嘘や無関心といった所か。それと疑問というのも表している。
多分あと一つ姿がある筈。
もう一度鏡の前で回転する。
茶髪のツインテール。全身から明るいオーラを放っている。
これは楽しい、嬉しいといった感情の姿。
まぁこんな所か。ボクは『感情』。様々な感情を操る事が出来るようだ。
デフォルトの姿に戻り、近くにあった木を見る。
ふわりと空中から透明な刃が出てきてその木を壊す。
感情は姿として具現化させる事も出来るが、形として具現化させる事も出来る様だ。
(なんか、楽しいな。)
空間をカスタマイズしたり自分に変な能力がついたり、ここはまるでゲームの様だ。
とりあえず一段落ついたから他の住民に挨拶をしに行く事にしよう。まずはピヨの所かな。
自分の空間を出ようとした時、瞬時にある光景が頭をよぎる。
ピヨがある人にパラレルについて説明をしている。
あぁ、この能力も立派についてきてしまったのね。
生前とでも言うべきかな。ボクが持っていた厄介な能力。
誰彼かまわず見たものの過去や未来が見えてしまう能力。
しかも意識して見れる訳ではない。突然見えてしまうのだ。
未来を予知したって未来を変えられる訳でも無いし、過去なんかはむしろ人のプライバシーを覗き込んでいる気がしてこの能力は嫌いなのだ。
まぁ、あるものはしょうがない。悩んでいたって時間の無駄だ。とりあえず挨拶しにいこう。
「おっ、シイだ!どう?ちょっとは慣れた?」
ピヨの空間に入るなりいきなり声をかけられる。
「反応早いな!まぁそれなりに、慣れたの…かな?何か能力とか、空間とか、楽しいね!」
「そっか。楽しいって言ってもらえて嬉しいよ!」
ピヨはそう言って笑った。
ピヨの空間は全体的に紫っぽく妖しい雰囲気が漂っている。辺りには黄色い玉なのか泡なのかよく分からないものが沢山ふわふわ浮いている。
ボクは人間界にある学校をモチーフにして作ったけど、ピヨの空間は人間界とは全く違う。未知の惑星にでも来た感覚だ。
「もう他の人には挨拶した?」
「ううん。今から行くところ。」
「そっかそっか。ボクも今度またそっちに遊びに行くよ。行ってらっしゃい!」
ピヨはそう言って手を振った。