第13話
総司の夢の中―
総司は、床の中でうつらうつらと夢を見ていた。
夜ではない。まだ昼間なのだが、体が重くなってきたので、床へ体を横たえていたのである。
『総司…どうだい?具合は…』
聞いたことのある声に、総司は驚いて体を起こした。
総司「近藤先生!!」
近藤が中庭に立っていた。
にこにこと笑っている。
総司は四つん這いになり、縁側へ這うようにして近藤のいる方へと近づいた。
総司「元気です!…ほら…こんなに!」
総司はそう言って立ち上がったが、すぐにその場に座り込んでしまった。
近藤「ほらほら…無理をするんじゃない。」
近藤が笑いながら、縁側へ座り、総司の背を大きな手で叩いた。
近藤「おまえにはまだやってもらわなければならないことが、山ほどあるんだからな。」
総司「なんでもします!先生と一緒ならなんでも!」
総司がそう言うと、近藤はなおも笑った。
近藤「総司。おまえだけが頼りだよ。…時代は変わりつつある。でも、我々は変わらない。そうだな、総司。」
総司「はい!先生!」
総司がそう答えると、近藤はうんうんとうなずいた。
……
総司ははっと目を覚ました。
あわてて飛び起きたが、近藤の姿はなかった。
総司「…夢か…夢をみていたんだ…」
総司はがっくりと肩を落とした。寂しさだけが、総司の心に残っていた。