第二話 暗中模索の自己確認
結論から言うと、明かりになりそうなものは持ってなかった。
だが、変わりに指輪を2つを見つけたので詳細を見てみる。
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特殊装備:『原初の破壊神』の指輪
レアリティ:神話級
効果:全ステータス上昇SSS 全状態異常無効 原初魔法・零 耐久値無限
装備固有スキル:真覇覚醒Lv1
備考:遥か昔、この世に平和をもたらした神々の一人、『原初の破壊神』の力を宿した指輪。魔神との戦いの切り札として作られた神である彼は、絶対に防げない破壊の力を使い、魔神たちとの戦いで誰よりも多くの戦果を挙げた。装着者に絶対の力を与えるが、何故この指輪が『原初の破壊神』の力を宿しているかは謎。
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特殊装備:魔神『終焉の混沌』の指輪
レアリティ:神話級
効果:全魔法適正SSS 魔力回復速度SSS 原初魔法・無限 耐久値無限
装備固有スキル:神魔必滅Lv1
備考:遥か昔、この世に終わりをもたらそうとした魔神の王の力を宿した指輪。彼の本名は誰も知らず、彼の使う『全てを混沌に還す』魔法と、常に世界の終焉を望んでいたことから『終焉の混沌』と呼ばれていた。『原初の破壊神』とその他の神々によって滅ぼされたが、何故この指輪がかの魔神の力を宿しているかは謎。
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これまた壮絶なチート装備でした。
せっかくなので早速装備してみる。『原初』(長いので省略)は右手の中指、『終焉』は左側の中指にはめてみた。
これでいいのだろうか?原初魔法というのが使ってみたいが、どうしたらいいのかわからない。口頭で唱えればいいのか?でも違ったら恥ずかしいしな…
どうにか確認する手段はないものか…こういう時、ゲームだったらメニュー画面を開いて確認できるんだが…
とか考えてたら、メニュー画面が開きました。うん、便利。どうやって表示させてるのかとかは気にしないでおこう。夢だしなんでもありなんだよきっと。
視界の左側に表示されたメニューの内容は以下の4つ。『ステータス』『装備』『持ち物』『スキル』である。
まずはとりあえず、『ステータス』を開いてみる。ぬーん。
念じると、画面が切り替わり、現在のステータスが表示された。
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名前:橋山竜士
年齢:17歳
レベル:1
職業:無し
クラス:無し
HP:542
MP:434
STR:360
VIT:312
INT:258
RES:206
DEX:316
AGL:358
LUK:502
SP:10
状態:『闇夜の暗殺者』(全ステータス二倍
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こんな感じである。ありがたいことに説明があっ
たので読んでみる。内容は以下の通りだ。
HPは言わずと知れた体力。つまり命。なくなったら死亡する。
MPは魔力。これを消費して魔法を放ったりスキルを使える。
STRは筋力。攻撃力に関する数値。
VITは頑丈さ。主に防御力に関係する。
INTは賢さ。要するに魔法攻撃力。
RESは抵抗力。つまり魔法防御力にあたる。
DEXは器用さ。攻撃の命中率などに関わる。
AGLは素早さ。攻撃の回避率に影響する。
LUKは運。不確定要素が絡む全ての判定に使われる。
うーむ…比較対象がないからなんとも言えんが…強いほうだと信じたい。
ちなみに、試しに指輪を取ってみたら、全てのステータスが『闇夜の暗殺者』で倍になってるにも関わらずほぼ一桁だった。指輪強すぎェ…
気になることはいくつかあるが、装備の画面に行く。
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武器:なし
頭:なし
体:闇夜邪影竜の黒衣
腕:なし
脚:なし
その他:婆沙羅夜叉の黒手袋 『原初の破壊神』の指輪 『終焉の混沌』の指輪 闇夜邪影竜の黒軍靴
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ふむ、きっちり装備されているな。つか俺は今全身真っ黒なのか…装備の名前といい廚二臭半端ないな…
つか武器とかはないのか? せっかくだから大剣とかファンタジーっぽい武器が使いたいんだが…
念じてみたりもしたが、武器は出てこなかった。残念。
次、『持ち物』は何も無しだった。ここがどこなのかはわからないが、ここから出るのに時間がかかるようなら食糧とかないか探さないとな…しかしまずは明かりだ。明かりがないと物探しすらできない。
一縷の希望をこめて『スキル』を開く。すると習得済のものがいくつかあったので一つずつ詳細に目を通してみる。
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スキル:主人公補正
説明:全ての『フラグ』が立ちやすくなる。
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それだけかよ!もっと細かく説明しろよ!
全てって何があんだよ!恋愛フラグとかならいいけど死亡フラグとかも立つってことか!?
まあいい次だ…
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スキル:第七感
説明:全ての『勘』がよく当たる。
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いやだから!全てって何だよ!
しかしまだこれは分かりやすい方か…それにある意味すごく使える…まあ悪い勘も当たるんだろうけど。
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スキル:神の手
説明:手先がとても器用になる。そのフィンガーテクはスリ・イカサマし放題の上、指先1つで(女性を)逝かせるほど。
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これまた微妙…と思いきや予想外に凄い能力だった。特に、個人的には最後の能力を是非とも活かしたい所存である。
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スキル:神の眼
説明:様々な魔眼が使える。透視、予知、幻視、読心、千里など。
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これも素晴らしい能力である。特に透視はさぞや役に立つであろう。有効活用せねばなるまい。
しかし、結局明かりになりそうなものがないな…神の眼に暗視はないみたいだし…透視、予知、千里も念じてみたが反応無し。どういうことだろうか。ちゃんと使い方も書いといてほしい…
そこで、一番下に『スキルの習得』というものがあるのを見つけた。おお、これだよこれこれ!これは期待できそうだ。
Wktkしながら開いてみる。そこには『火属性魔術・初級』などファンタジーっぽいものから『商売術・初級』など現実で使える才能に近いものまで色々あったのだが、全て『ポイントが足りません』だった。この中途半端なリアルさマジでいらんわ…
10ポイント内でとれるスキルがないか探してみると、ろくなものがなかった。正確には『神の眼』と『神の手』で代用できるようなものばかりなのだ。諦め混じりにページをスクロールさせていると、一番下に『異世界生活快適セット』というのがあった。ちょうど10ポイントである。
ktkr!と喜びながら開いて確認してみる。内容はこの世界の標準語の読み書き能力と、生活必需品である家具家電を模した魔術、そして『ハンディキャップ』という能力の3つで10ポイントのようだ。
これは完全に取るしかない。この世界での読み書き能力はどう考えても必須だし、二番目の魔術も説明を見る限りではとても使える能力のようだ。問題は三番目のハンディキャップだが…そういえばさっき見た気がするな。
探してみると…あった。『ハンディキャップ』…どうやら自分の能力を下方に自在にいじれる能力のようだ。なるほど、つまりこのスキルは強すぎる能力を隠すためのものであるらしい。この世界の人間の標準がどれ程のものかわからない以上、持っておいても損ではないだろう。習得しよう。
『スキル:異世界生活快適セットを習得しました。
語学:ファルティアス語を習得しました。
魔術:照灯・種火・流泉・洗掃・季風・万納・解病を習得しました。
スキル:ハンディキャップを習得しました。』
一気に色々増えたな…早速覚えた魔術を発動してみよう。まずは念願の照明魔術からだ。
『照灯』
呪文を詠唱(といっても一言だが)すると、頭の上に裸電球くらいの明るさの光の玉が出現した。
おお、ちょっと感動。
明かりが照らしている範囲を見回してみる。だが、光が届いている範囲には土の地面しかない。
また、光の玉の光度も足りない。どうにかもっと周りをよく照らしたいのだが…
そう考えていると、頭の中に新しい呪文が浮かんできた。
あまりの都合の良さに流石に不審感を抱いたが、今は使うしかない。
『輝度上昇』
唱えた瞬間、光玉が輝きを増し、部屋全体に光が行き届いた。
どうやらそこまで広い部屋ではなかったようだ。大体縦横10メートル前後の、正方形の部屋である。
近くの壁に行き、触ってみる。地面と同じ土の壁だ。空気が滞っている感じもするし、もしかしたらここは洞窟や坑道、あるいは地中か、それに近い場所なのかもしれない。天井に補強材などがないので、洞窟か地中の線が強そうだ。
となると当然出入り口があってしかるべきで、その予想通り正面の壁には石のようなものでできた扉があった。真ん中から左右に開く観音開きのようだ。とりあえず見た限りではこの部屋の中にはこの扉しかないということになる。
さて、どうするか。
扉を調べてみるか?調べてみたところで開くんだろうか?開いたところで無事外に出れるのか?この扉の外には俺をここに閉じ込めた奴らがいて、何かされたりしないだろうか?
このステータスと装備があれば大丈夫か…いや、普通に考えて、もし良い装備を取り上げずに閉じ込めるなら、その上で無効化できる手段を用意するだろう。よくあるパターンとしては、体のどこかに爆弾を仕掛けておくとか。
いや、そもそもこんなもの与えて閉じ込めるか?だとしたら俺は閉じ込められたのではないのかもしれない。ああくそ、状況がわからん!考えても仕方ない、行動しよう。
俺は扉に手をかける。取っ手がないので押してみようとしたら、扉は勝手に開いた。
扉を開いた先には、また闇が広がっている。
俺は勇気を振り絞り、更なる闇へ踏み出した。
なろうのシステムがわからずに悪戦苦闘してました。パソコンが切実に欲しいです…5/10 次話への繋ぎを加筆修正