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勇者(ピエロ)は神の掌で踊る  作者: 愚道の探求者
勇者は試練に放り込まれる
1/11

第一話 始まりは真っ暗な地の底から

初投稿です。

拙いのは寛大な心でご容赦下さい。

チート、ハーレム、その他諸々作者の痛々しい妄想と願望だらけです。ご理解ご了承の上でお読みください。

目覚めは、ひどく不快だった。






目を開けてみたは良いものの、とても気分が悪い。


まるで二日酔いのような酩酊感。


頭がぼうっとする…。


いつもだったら、ここで寝返りでもうってもう一眠りするところなのだが、今日はそうもいかなかった。


なぜなら、自分が寝ている場所がおかしいことに気がついたからだ。掛け布団も敷布団もない。冷たくて湿った、土の地面だ。どう考えても自分の部屋ではない。


ここはどこだ?何故俺は、こんなところに寝ていたんだ?


自分が寝る前に最後に何をしていた思い出そうとするが、思い出せない。記憶がすっぽり抜け落ちている。


一昨日やその前の事、自分の事等は問題なく思い出せる。だが昨日の記憶だけはさっぱり頭にないのだ。


…それにしても真っ暗だな…


手探りで周りを調べてみたが、近くには何もないようだ。壁とか電気のスイッチとか無いか探そうかと思ったがやめた。どこかわからない真っ暗な暗闇を彷徨くのは怖い。


…しかし、この状況は一体何なんだ?


目が覚めたら視界は完全なる闇。一切の光源もない。この状況に至った経緯の記憶がなく、完全に何もかもがわからない。


「なんだよ、これ…」


自分が置かれている状況を分析し、徐々に危機感と焦りが心を満たしていく。この状況は、異常すぎる。


ただでさえ頭が働いてないのに焦りのせいでさらに思考が空転していく。ここはどこだ?何故俺はこんなところにいる?目覚める前、最後に何をした?何故それが思い出せない?こんなの普通じゃない。現実とは思えない。かといって夢でもなさそうだ。頬をつねれば痛いし、地面の感触や、なにより不安を表すように暴れる鼓動がこれは現実だと主張している。


とにかくまずは落ち着こう。そして冷静に考えよう。


まず、ここはどこなのか。土の地面ということは屋外か?しかし、屋外ならば少しくらいは光源がないとおかしい。ここはまるで暗室のような暗さだ。自分の手すら見えない。


ならば屋内なのか?しかし屋内で地面が土で暗室並の暗さの場所なんて、俺には心当たりがない。



…だめだ、状況分析が進展しない。ならば場所は一旦おいといて、何故俺はこんなところにいるのか考えてみよう。


眠る前の最後の記憶がないのは異常だ。普通ならばすぐに思い出せる。最初に目が覚めたとき、謎の不調を感じた。何か関係があるのだろうか。


見知らぬ場所、抜け落ちた記憶、目覚めたときの酩酊感。すぐに結び付くものといったら酒だ。一応説明はつく。だが俺は酒はめったに飲まない。飲んだとしても、二日酔いになったりましてや記憶がなくなるまで飲んだりなんて絶対しない。つきあいなら仕方なく飲むが、基本的に酒は嫌いなのだ。それに酔いつぶれても流石にこんな場所に寝たりはしない…はず。


周りは全く何も見えない暗闇。かすかな音も聞こえない。手探りしても何一つ物がない。人の気配も、もちろんない。


…俺が寝ている間に、いったい何が起きたんだ?というかそもそも俺は、自分の意志で寝たんだろうか?


異常だ。うまく言えないが、これはおかしすぎる。なんというか、あまり日常では起こりにくいことが起きている。


俺の身に非日常的な出来事が起こったとして、現実的に可能性がありそうなのは一体なんだろうか?


…ぱっと思い付いたのは、何かの犯罪に巻き込まれた可能性だ。


その可能性について考えてみる。薬品のようなもので眠らされ、拉致され、ここに監禁させられた。これなら見知らぬ場所にいることも記憶が抜け落ちていることも頭がぼうっとすることも説明がつく。


だが、何故俺なのか?大金をもっているわけではない。かといって借金もない。もちろん特別な血縁関係もなく、特に誰かから恨みを買った覚えもない。


しかし無差別なら話は別だ。あり得ないと思いたいが、現に今こうして俺はどこかわからない場所にいる。身体を拘束されたりはしていないが、これはもはや監禁といっていいレベルではないだろうか。


まだ何もわからないが、その可能性は頭にいれておいた方がいいのではないだろうか。できれば違ってほしいが、今の世の中何が起こるかわからない。もしかしたら、たまたま偶然、今回は、俺が見知らぬ誰かの悪意の標的になったのかもしれない。その可能性はないとは言い切れない以上、想定はしておくべきだと思う。


だとすれば、俺は今、何をすべきか…。


やはりまずは、ここがどこなのか知りたい。先程は諦めたが、もし最悪の可能性が当たっていた場合、ここから逃げ出さなきゃいけない。俺の心配は杞憂であるかもしれない。命の心配も要らないのかもしれない。だけどここから出られるならできれば出たいし、どういう場所なのか知っておきたい。最悪の可能性が当たっていた場合、周囲を調べておくことで何か状況が変わるかもしれない。


俺は自分の着ている服をまさぐる。もしかしたらライターがポケットに入っているかもしれないと思ったのだ。


しかしそこで、新たなことに気がついた。


どうやら今俺が着ている服は、俺の物ではないようなのだ。


もちろん、自分が持っている服を全部覚えているわけではない。だがこれは明らかに違うとわかる。手触りが尋常じゃない。不安が益々強まる。この服はなんだ?何故こんな服を着せられているんだ?他にも何かされたんだろうか?体全体をさわって調べてみるが、他に異常は見当たらない。目視はできないが、触ってみた限りでは変わったことはない。


それにしても不思議な生地だ。絹?カシミア?なんだろう…


すると突然、視界に何かが現れた。


――――――――――――――――――


特殊装備:暗夜邪影竜シャドウナイト・イビルドラゴンの黒衣


レアリティ:伝説級


効果:寒暖無効 隠密性++ 現在地が暗闇または夜の場合、全ステータス二倍 耐久値無限


装備固有スキル:暗舞絶影Lv3


備考:難易度SSクラスのダンジョン「沈黙の大森林」に君臨する魔竜の素材で作られたコート。

かの魔竜は他の竜に比べて攻撃力などの脅威は低いものの危険性は遥かに上回る。

姿も音も消し、あらゆる探知を掻い潜り、文字通り影に潜んで、一人また一人と悲鳴すらあげさせず獲物を狩っていく。

まるで神隠しのように仲間がいつの間にか一人ずつ減っていく恐怖は計り知れず、そのため該当の魔竜は危険度SSランクに位置付けられており、夜に大森林に入ったものは絶対に生きて出られないとされている。


―――――――――――――――――





…………………はい?


俺は言葉を失う。


自分が着ている服を「なんだろう」と思いながら見ていたら、突然宙に表示が浮かんだのだ。


まるでゲームのウィンドウのようなそれは、今まで俺がなんとか保っていた正常な思考を破壊するには十分だった。


同時に、現実感も崩壊していく。


焦り、不安、緊張、危機感が一気に失せていく。やっぱりこれは夢なのだろうか。そう思うと、途端に真面目に考えるのが馬鹿らしくなってきた。



だってそうだろう。こんなのまず現実ではあり得ない。今俺が生きている世界では、ラノベなんかでよくあるようなVRとかなんかは存在しない。思いっきり未知の技術だ。にもかかわらず、現在俺の目の前にはまさにゲームでよくあるウィンドウとしか思えないような表示が浮かんでいる。


…しかし、本当にこれは夢なのか?目の前のふざけた表示以外は、まるで現実としか思えない。


俺は試しに、自分の履いている靴を見てみる。


…しかし、何も起こらない。あれ?


指で押してみるとまるで安全靴のような頑丈さだが、とても軽い。前にすごく高いランニングシューズを履いたことがあるが、それと同じかそれより軽そうだし、なによりフィット感が半端ない。俺の足にあつらえたかのようだ。


材質はなんだろうと思いながら見ていると、先程と同じウィンドウが出てきた。なるほど、どうやら「これはなんだろう?」と考えながら見てみると詳細が表示されるようだ。


―――――――――――――――――


特殊装備:闇夜邪影竜シャドウナイト・イビルドラゴンの黒軍靴


レアリティ:伝説級


効果:追跡無効 隠密性++ 無音歩行 耐久値無限


装備固有スキル:冥烙絶夜Lv3


備考:難易度SSクラスのダンジョン「沈黙の大森林」に君臨する魔竜の素材で作られたブーツ。

かの魔竜は他の竜と違い翼を持たないが、機動力は全竜の中でも上位である。

現在では上記のダンジョンにしか生息していないが、実はどんな悪路でも、地面ですらなくても問題なく踏破できる。

その機動力はかの魔竜の最大の長所である隠密性も加わり、追われる側でも追う側でも十全に発揮される。

そのあまりの恐ろしさは「不可視の暗殺者インビジブル・アサシン」という異名で有名であり、該当の魔竜に遭遇し奇跡的に生還したものは例外なく精神に異常をきたすため、この魔竜を倒すのは不可能なのではないかと言われている。


―――――――――――――――――




…………………はあ。


俺は内心で、呆れたため息をつく。


ぶっちゃけ、感想がそれしか出てこない。本当に、「はあ。そうすか」って感じだ。


いきなりそんなファンタジーなこと言われても…「闇夜邪影竜(笑)」 とか「伝説級(笑)」とか俺TUEEEEEしたがる廚二病男子の妄想じゃないんだからさ…


まあ、夢なら別にどうでもいいか…もう夢だと思うことにしよう、でなければこんな馬鹿馬鹿しい…いや、痛々しいウィンドウなんて見えないはずだ。つかこれ俺の夢なんだよな?こんな夢を見るってことは、俺もまだまだガキってことか…


ついでに、さっきから気になっていた手の違和感について見てみる。


―――――――――――――――――


特殊装備:婆沙羅夜叉の黒手袋


レアリティ:宝具級


効果:掌握圧潰 耐久値無限


備考:悪鬼修羅の中でも特に凶悪とされている羅刹、別名「煉獄の覇者」の素材で作られたハーフフィンガーグローブ。ありとあらゆるものを握り、潰すその手はまるで命の凡てを掌の上で転がす釈迦菩薩の如し。


―――――――――――――――――


コートとブーツに比べればまだましだが、やはりチート装備か…。


ちなみに、シャツやズボンは普通の服でした。ちょっと安心。


しかしこれからどうするかな…。今の心境としてはとにかく周りを調べたい。そのためには明かりが必要だ。何かないか、色々試してみよう。




基本的には2、3日に一話ペースで、もう少し文字数を減らして更新していきたいと思っております。


次回は明日か明後日投稿予定です。

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