第七章 王国の噂
当然ながら、王国中で噂が広まった。
「聞いた?あの悪役令嬢クラリッサ様が、慈善活動を始めたんだって!」
「しかも本物らしいよ。孤児院に毎日通って、子どもたちに読み書きを教えてるんだ」
「一方、聖女エレナ様は……なんか変わったらしい。まだ貧しい人々を助けてはいるけど、やり方が…積極的すぎるというか……」
「昨日も市場で『この野菜、高いわよ!もっと値下げしなさい!貧しい人も買えるように!』って商人に啖呵切ってたんだ」
「でも悪くないじゃない?今まで遠慮がちだったエレナ様が、ずいぶんハキハキしたわ」
王子のアルベールは、この変化に最も困惑していた。宮廷会議で、側近たちと議論した。
「どう思う?クラリッサ様の変貌は本物か?それとも何かの策略か?」
老宰相が咳払いをした。
「殿下、私は長く生きて参りましたが、このような急激な性格の変化は…普通ではありません。何か超常的な力が働いている可能性も」
「でも、良い方向に変わっているのなら、それでいいのではないですか?」若い騎士が言った。「クラリッサ様の慈善活動は本物です。孤児院の子どもたちはみんな、彼女のことを慕っています」
「エレナ様の方も……変わってはいますが、効果的です」
財務官が書類を見ながら言った。
「彼女の『積極的交渉』で、貧しい地区への食料供給コストが三割減りました」
アルベールは窓の外を見つめた。
庭園では、エレナ(悪役令嬢の身体)が子どもたちに囲まれ、笑いながら花の冠を作っていた。
少し離れた場所では、クラリッサ(聖女の身体)が商人たちと値段交渉をしている。
「どちらも……悪くない。むしろ、以前より王国のためになっている」




