第六章:奇妙なレッスン交換
次の日から、王国で最も奇妙な「レッスン交換」が始まった。
午前中は、エレナ(悪役令嬢の身体)がクラリッサ(聖女の身体)に「慈愛と奉仕のレッスン」を施した。
「まずは、孤児院を訪ねましょう。でも、ただお金を配るのではありません。子どもたちと遊び、話を聞くのです」
「はあ……面倒くさい……でも仕方ないわね。王子様に近づくためなら我慢する」
孤児院でクラリッサは最初、不機嫌そうにしていた。しかし子どもたちが「エレナお姉さん!」と懐かしそうに寄って来ると、彼女の表情が少し和らいだ。
「あの……これ、あげる」
小さな女の子が、自分で編んだ少し歪な花の冠を差し出した。
クラリッサは一瞬戸惑ったが、受け取ると頭に載せた。
「……ありがとう。でも、次はもっと綺麗な色のリボンを使いなさい。ピンクと紫の組み合わせは最悪よ」
「はい!エレナお姉さん、また来てね!」
午後は、クラリッサがエレナに「社交術とファッションレッスン」を教えた。
「まずその厚化粧、洗い落としなさい!天然美を活かすのが一番よ!そしてそのドレス、ピンク過ぎて目が痛いわ!」
「でも、この身体の元の持ち主はこういうスタイルがお好きだったようですし……」
「だからダメなの!王子様はそんな派手さより、上品さを好むのよ!ほら、この水色のドレスを着て、髪は自然に流すの!」
エレナが変身すると、そこにはこれまでとは別人のような上品な令嬢がいた。
化粧を落とした顔は意外にも清純で、派手な装飾を外したことで本来の美貌が浮かび上がった。
「おお……これは……」
「でしょ?あんた、悪役令嬢の身体だけど、素材は悪くないわ。あとは中身をどうにかするだけね」




