第二章:目覚めたら悪役令嬢
「…ん…頭が痛い…」
目を覚ますと、エレナは見知らぬ豪華なベッドルームにいた。絹のシーツ、天蓋付きのベッド、壁には肖像画がずらり。そして何より驚いたのは、鏡に映った自分の姿だ。
金色の巻き毛(明らかに天然ではない)、派手すぎるピンクのドレス、顔には厚化粧。そして胸元には、宝石がぎっしりと散りばめられたネックレス。
「これは…私?違う、こんなはずは…」
記憶が少しずつ戻ってくる。彼女は聖女エレナとして、貧しい人々を救うために生涯を捧げてきた。そして老いて死を迎え、神様から「もう一度、別の世界で善行を積む機会を与えよう」と言われたはずだった。
その時、ドアが勢いよく開いた。
「お嬢様!もう起きていらっしゃいますか!今日は王子様とのお茶会ですよ!遅れたら大変です!」
メイドとおぼしき女性が、慌てて部屋に入ってきた。エレナは混乱しながらも、聖女としての落ち着きを取り戻そうとした。
「あの…王子様とですか?それは光栄ですが、まずは貧しい人々を救う活動を始めるべきでは…」
メイドは目を丸くした。
「お嬢様?また新しい冗談ですか?貧しい人々なんて、お嬢様が気にかけるはずがありません。先週も町の孤児院に『邪魔だから移転しろ』と言ってお金を投げつけたではありませんか」
「な、なに!?」
エレナは青ざめた。どうやら彼女は、聖女ではなく「悪役令嬢」としてこの世界に転生してしまったらしい。




