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後宮の侍女  作者: 米野雪子


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6/11

5年後とクーデター


私は、無事司書の資格を会得し、

王都周辺にある、小都市の図書館の司書として、勤めることになった。

心配してすがり付く家族を振り切り、やっと実家から自立。


司書専用の寮に入居し、誰にも干渉されず静かに過ごした。

お金を貯めて、将来はもっと自然豊かな山奥の小さな村で

穏やかに一人で暮らそうと考えていた。




そして5年後、


クーデターで、現国王は失脚した。




王族は、流刑や処刑で血を絶やされるが、

情報統制されて、国民には全く情報が入って来ない。


だから、彼がどうなったかは知り得なかった。


あの妙に達観した国王陛下が、失脚したなんて想像できず、

彼の身を案じたが、私ではどうする事もできない。



せめて、生きていてくれれば、いいのだけれど…



その祈りを嘲笑うように、

出勤途中で受け取った、号外の新聞誌面を見て、

心臓が大きく鼓動した。



【ラディウス国王陛下、側妃5名、非公開で絞首刑が執行される】



新聞を持つ手が、小刻みに震える。





“ 俺は、何の為に生きていると思う?”





自分の人生なのに、自分のために生きられない。

彼の人生は、なんて窮屈だったのだろう。


自分は、自己中心的だと言っていたが、

結局彼は、国のために生きる立場から逃げなかった。


別れ際に、私に側にいて欲しいと引き留めた。

あれは、彼が初めて自ら他人に望んだ事なのかもしれない。


それなのに、私はその手を振り切って、

自分だけ自由になることを選んだ。



だって、仕方ないじゃない…



こんなちっぽけな私に、何ができるっていうの?



ホタポタと膝の上で握り締めた手の甲に、

滴が落ち続ける。




“お前が明日から居ないのが、どうにも受け入れられん”




側にいてあげれば、よかったのだろうか…


せめて最後のその時まで…

彼の心に寄り添っていられたら…


死にゆく時に、少しは恐怖を和らげてあげられただろうか…



どうか、どうか…



彼の魂が少しでも、安らかでありますように…


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