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後宮の侍女  作者: 米野雪子


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4/11

子孫繁栄と性行為


「なあ、なぜ人間は、子孫繁栄を望むのだ?」


「自分たちの血を絶やさないようにする為じゃないですか?

 土地や財産や権力、研究や技術の進化を引き継いで無駄にしない為に…」


「そんな高尚な考えかねぇ、そんなの一部の貴族だけだ。

 …人間なんて皆自己中だろう」


「では、なぜ男女は性行為すると思いますか?

 王族以外は、国の為ではないですよね?」


「……本能か?」


「そういう事では?」


「ほお、なるほど。面白いな…

 この本能に、人間は支配されているのか」


「本能がなくなると、結果、人口が減り続けて滅びて終わりです」


「それが自然の摂理だ。別に構わんけどな。俺は自己中だから」


「要するに、性行為が苦痛なんですね」


「ああ、そうだ。

 毎日毎夜、必死に腰を振って、馬鹿みたいだぞ」


「それも、国王陛下のお仕事ですから」


「もう、何も感じなくなってきた…

 妃候補達がよく口にする、愛だの恋だのも、よく分からん」


「私も分かりません。

 そういえば、5人ご懐妊だそうで、おめでとうございます。

 頑張りましたね」


「ああ、もうやめたいのだが、

 側近がもっとスペア作れと、うるさいのだ」


「無視しましょう。やってるフリすればいいです」


「ああ、そのつもりだ。5人もいれば、どれか1人は男だろ」



この後宮へ来て、4ケ月が経った。


私はシーツをパンパンと干しながら、

国王陛下のいつもの話し相手として、侍女の仕事をこなして過ごしている。


寵姫5人のご懐妊は、王族の血筋を繋いだ安心感か、

すっかり王宮はお祭りムード。



「これで一先ず、お世継ぎの憂もなくなるでしょうし…

 良かったんじゃないですか?」


「何が?」


「子供が出来たことです」


「生まれてくる子供達は、幸せだと思うか?」


「分かりません」


「そうだな。自我が生まれてからだ。

 恵まれていると考え、謙虚になるか、

 逃れられない地獄で、覚悟をするか…」


「本人の資質次第ですね」


「そうだ。俺のような子供だと、

 この地位は、地獄にしかならない」



そう言って、皮肉気に笑う国王陛下は、

まるで、何もかも諦めた子供のようだった。


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