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後宮の侍女  作者: 米野雪子


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2/11

国王陛下の悩み


「…おはようございます」


「ああ…」



お昼少し前、丁度令嬢の部屋から出てきた陛下とバッタリ会った。


凄い不機嫌そう。

子作りのお勤め直後か、髪ボサボサだし。

こっちは早朝から、働きずめだってのに。


後ろ手にドアを閉めて、ため息をついて項垂れている。



「お疲れでしたら、私室まで紅茶でも持たせましょうか?」


「…ああ、お前がもってこい」


「私は仕事がありますので、他の者に持っていかせます」


「だめだ」


「陛下、私はあなたの侍女ではありません。

 親切心を出した私がバカでした」


「ほんと、お前可愛くないぞ!」


「ありがとうございます」


「だから、褒めてねぇって」


「では、ごめんあさーせ」


「待て」



すれ違いざまに手を取られる。


ちょっとお?


いくらなんでも、乱暴過ぎやしませんかぁ?

手首をくるりと回し、手をアッサリ外す。



「は?なんだ?何をした?」


「護身術です。非力な女性には必要ですから」


「なんでお前は、そんなに俺を拒む?」


「この前も言いましたが、私は…」


「行儀見習いだろ。知ってる。

 本当に俺に1ミリも興味ないのか?」


「ありませんねぇ」


「国王だぞ?」


「存じてます」


「なあ、実は下心はないんだ。俺は、普通に話し相手になって欲しいだけだ」


「密室で二人きりはお断りです。話がしたければ、サロンでどうぞ。

 ですが、私は侍女やメイドの仕事が、朝から晩までありますので、

 ああ、時間がありませんねぇ。残念です!」


「…あーいえばこーいう…頭の回る女は可愛くない」


「ありがとうございます」


「だから、褒めてねぇっ!」



たかが侍女に絡んできて、この人は一体何がしたいのか。

あー邪魔だな。仕事が進みゃーしない。



「それはそうと、子供のノルマは達成できそうですか?」


「知らん。これだけヤれば誰かしら孕んでるだろ」


「お気に入りの令嬢とかは?」


「みんな同じ顔に見える。腰が痛い」


「宮廷医師と薬師を呼びます」


「いらん。寝てれば治る」


「話がしたいのであれば、ここで聞きます」


「廊下でか?」


「はい。終わったら、そのまま仕事に行けますし」


「俺はもっとゆっくり…まあ、いい」


「5分です」


「は?」


「5分しかお相手できませんので、さっさとどうぞ?」


「……はあ…俺は、何の為に生きていると思う?」


「国では?」


「そうだな」


「1分経過~」


「お前なぁっ!」


「ご自分の人生と、地位を憂いているのですか?」


「まあな…王子に生まれて国を担う立場で、厳しい教育を受けてきたのに、

 こんな種馬みたいな生活…酷くないか?」


「楽しめば、よろしいのでは?」


「女好きなら、そうだろうな」


「あっ…それは…ご愁傷さまです」


「おいっ!別に男が好きな訳じゃないからな⁉︎」


「では、何がご不満なのです?」


「恋もしてないのに、粋なり義務のように性行為だぞ⁉︎」


「愛だの恋だの下らない。

 王族や貴族は、政略結婚ばかりではないですか」


「あ~お前そういう女か…。まあ、確かに。

 亡くなった婚約者も名ばかりで殆ど面識もなかったしな。

 喪失感はあるが、悲しみはあまりなかったな…

 正直忙しすぎて、悲観に暮れる暇もなかったが」


「5分経過~。はい終了です」


「おまっ‼︎…………まあ、いい。久しぶりに普通に話せたしな。

 廊下なら、いいのだな?」


「ええ。そうですね。部屋に連れ込むのは、ご遠慮ください」


「分かった。そうする」



おや?


本当に、話がしたかっただけ?


って…待ってこの人、令嬢達と性行為以外してない訳?



「あの、会話ならご令嬢達と、なさればいいのでは?

 将来的に、王妃になる方も選ぶわけですし…」


「あいつらは、俺に媚びることしかしない。

 まともに会話できるとでも?

 俺に対して興味などないのだ。王家の恩恵しか頭にない」


「ひ、一人もですか?あれだけいて?」


「ああ」


「わかりました。

 ご令嬢たちに、もっと国王陛下の人となりを理解し、

 行為だけではなく、語らうよう進言しておきます」


「ほう?令嬢達に顔が効くのか?」


「そうすれば、王妃もしくは側妃になれますよ、と言えば食いつきます」


「結局、同じではないか…」


「まあ、いいではないですか。

 会話の中から、互いの理解が深まるかもしれないですし、

 恋もできるかもしれませんよ?」


「もう、ヤルことやってんのにか?」


「一旦忘れましょう!」


「お前、変わってるな。令嬢らしくない」


「ありがとうございます」


「だから、褒めてねぇって」



そうか、国王陛下としてではなく、

一人の人間として、対等に対話をしたかっただけなのか。

無礼な私の態度も、彼にとっては嬉しかったのだろうか。


うーん、自意識過剰だったな私。


それから、侍女とメイドの仕事をこなしつつ、

ご令嬢達に行為だけでなく、陛下はこれから末長く過ごす

お相手のあなた方のと知り合って、理解したがっている。

もっと意思の疎通を深める会話をすれば、たとえ子が出来なくても、

側妃に選ばれる可能性が高まりますよ、と喧伝活動をした。


何してるんだろ。私。

まあ、1年努めれば資格取得できるし。

司書の勉強もしながら、頑張ろう。


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