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夜を待つ  作者: 氷桜 零
王国編
8/37

5夜


ヴィラーシュ様たちが訪問されてから、1週間が経った。

ヴィラーシュ様たちは、『魔獣の領域』の浅瀬に行ったり、騎士団の訓練に参加したり、辺境伯領を視察したり、精力的に動いていた。


そんな中、4日ほど前のこと。

今、辺境伯家が頭を悩ませる原因がやって来た。

その人とは、キャロライン妃。

ヴィラーシュ様の第1妃なのだとか。


キャロライン妃が来てからと言うもの、文句と問題が出るわ出るわ。

よくもまぁ、こんなにも問題を起こせるものだと、ある意味で感心した。


けれど、直接関わっている人たちは、もうすごい事になっている。

表情は笑顔なのに、圧がものすごい。

思わず、ひっ、と言いたくなるほどである。


侍女たちからも、評判が頗る悪い。

気に入らない事に文句を言う、物を壊す、人の物を欲しがる、皇帝陛下に媚を売る…などなど。


私も1度だけ、絡まれたことがあった。

曰く、私の見た目が気持ち悪いとの事。

私は、言われたところで、特に何も思わないので、気にしていなかった。


けれど、それを見ていた人から、辺境伯様に、辺境伯様からヴィラーシュ様に話がいって、ヴィラーシュ様から直接謝られた。

お詫びに今度、王都の有名なお店のお菓子を贈ってくれることになった。

それは、ちょっと…かなり嬉しかった。


そんな、ちょっと変わった日常を過ごしていた時、それは起こった。




ピィィィ…ピィィィ……ピィィィ


警笛が、3回鳴った。


普通なら、1段階ずつ上げていく警笛が、一気に3回。

すぐに、避難しなければいけないほどの異常事態。


邸が、途端に騒がしくなる。

非戦闘員は、すぐさま避難所に向かう。

戦闘員は、防壁へ走り出した。


私も、非戦闘員の侍女たちと一緒に、避難所に行った。

避難所では、皆、気丈に振る舞っているが、不安な様子を隠せていない。


私は、気づかれないように魔法を発動させ、防壁の外を見た。

外にいたのは、地竜だった。

しかも3体。


ヴィラーシュ様や皇帝陛下も、参戦するようだ。

2人の剣の実力は、かなりのもの。

負傷した騎士を、庇いながら戦っている。


現場の周囲を見渡していると、何故か、キャロライン妃がいた。

そこでも何か、騒いでいるようだ。


このままでは、全滅は免れないなろう。


それにしても、あの地竜の様子は、尋常ではない。


少し考えた後、私は気づかれないように、魔法で防壁の外へ転移した。




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