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夜を待つ  作者: 氷桜 零
王国編
6/37

4夜


今日も今日とて、素晴らしい晴天。

少しぐらい曇ってくれても良いと思う。


今日は皆、いつも以上にピリピリしている。

その理由は、辺境伯家の嫡男リカルド様が、ラージス王国王太子殿下をお連れして、辺境伯領に帰って来られるからだ。

そしてもう1人、ツェアドラ帝国皇帝陛下もまた、同日に訪問されるから。


辺境伯様が、先日のフェンリルの件を国王陛下に報告を上げた。

その結果、調査と言う名目で、王太子殿下がいらっしゃる事になった。

リカルド様は、その接待のためについて来られる。


辺境伯領にかかった夜空は、お隣のツェアドラ帝国ミンウィ辺境伯から観測されたよう。

そして、ミンウィ辺境伯から、皇帝陛下に奏上した結果、皇帝陛下直々にジルクニアへ来訪する事になったのだ。


辺境伯領の入り口で合流し、皆様一緒に辺境伯家に来るらしい。


自国だけでなく、他国も関わってくる以上、失敗は許せない。

だから、上から下までピリピリしている。

皆様がお帰りになるまで、この状態が続くだろう。

人前に出ない私まで、気が重たくなってしまう。


使用人の3分の2は、辺境伯様方と外で、残りは中で、いらっしゃるのを待っている。

私はもちろん、中で残る組みだ。


全員で出迎える理由は、万が一でも失礼をしないため顔を覚えておきなさい、と言う事。


この訪問が、何事もなく、終わってくれれば良いけど。

こっそり、溜め息を吐いた。




外から声が聞こえる。

どうやら、到着したらしい。

しばらくすると、玄関の扉が開いた。

一斉に礼をする。


一種見た感想は、うん、キラキラしているね。

あまり人の美醜には興味はないけど、キラキラしているのはわかった。


辺境伯様方が去ると、すぐに解散して、各自仕事に戻る事になった。



ーーーーー


王太子殿下は、リカルド様の幼馴染。


子どもが少ないため、歳の離れた幼馴染は普通。

むしろ、近い方が珍しい。


王太子殿下は辺境伯家に、そこそこの頻度で来訪されている。

だから王太子殿下は、辺境伯家では結構自由だ。

王太子殿下は東棟で、皇帝陛下は西棟で過ごす。


辺境伯邸は、邸と言うより城に近い。

なので客室は余るほどある。

余談だが、新人はまず迷ってしまうとのこと。

私も、1度だけ迷ったことがある。

その後は、必死になって構造を覚えた。



今日の仕事は、午前中が掃除、午後から厨房。

お客様のいる東棟と西棟は、ベテランの侍女が担当する。


私の掃除場所は、使っていない客室。

使っていないからと言って、手を抜いてはいけない。

掃除が終われば、副侍女長に報告して、チェックしてもらう。

初めは何度もやり直しを食らったが、最近はやり直ししなくても済んでいる。

すごく嬉しい。


お昼をいくらか過ぎた後、料理長から呼ばれた。

不思議に思いながらついて行くと、リカルド様と王太子殿下がいた。

慌てて礼をする。


「ああ、いいよ、顔を上げて。」


私はその声に、恐る恐る顔を上げた。


「レイシィ、悪いな。ヴィラーシュが、どうしてもレイシィに会いたいと言ってな…」


「やあ、初めまして、君がレイシィか。リカルドがよく話していたから、会えて嬉しいよ。よろしく。」


「はい!お初にお目にかかります。レイシィと申します、王太子殿下。」


「あはは。そんなに硬くなくて良いよ。ヴィラーシュと呼んでくれ。」


「はい、ヴィラーシュ様。」


「それにしても、良いなぁ。うちには妹がいないから、羨ましい。」


「レイシィは、やらないからな。」


「そんなに他所にやりたくないなら、妹自慢しなけりゃ良いのに。」


「ふんっ。…ああ、悪いな仕事の邪魔した。またゆっくり話そう。」


「仕事がない時に、ゆっくり話そうね、レイシィ。」


「はい。」


そう言うと、2人は連れ立って戻って行った。


それにしても、癖が強そうな人だった。

私は出来れば、関わりたくないな、と思ったのだった。




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