25夜
立ち尽くしている男性の服装は、神殿で見る服に似ていた。
「うわぁぁぁん。」
沈黙を切り裂く、子どもの泣き声。
「あ、もう、大丈夫だ!私、枢機卿のアルトゥールと神殿騎士が助けに来た!」
その声を聞くと、他の子どもたちも一斉に泣き声を上げた。
一応は、味方ということで、良いのだろうか。
男性たちが近づいて来たので、子どもの結界を解いた。
子どもたちは、騎士に抱きついて、宥められている。
ただ1人、リアムだけは私の服をギュッと握り、離そうとしない。
騎士が入れ替わり立ち替わり、子どもを連れ出し、生きている男たちを拘束していく。
邪魔になりそうな、天井から落ちた岩を、腕の一振りで端によける。
岩の下にあった潰れた死体に、騎士は息を飲むが、何事もなかったかのように流した。
「あちらにも、子どもが拘束されているわ。」
私が通路を指差すと、何人かの騎士が、その先に走って行った。
「あの、あなたにお話を伺いたいのですが…」
「ええ。構わないわ。」
「あなたは一体…それにさっきのは何ですか?」
アルトゥール枢機卿は、まだ混乱しているらしい。
「少し待って。」
アルトゥール枢機卿の言葉を止める。
時間がかかりそうなので、まず、精霊力を仕舞い込む。
精霊の私から、人間の私へ変化する。
日差しがあるので、異空間から取り出した傘を差す。
アルトゥール枢機卿は、またもや呆然と立ち尽くしている。
「アルトゥール卿、子どもは全員保護しました。…そちらの子どもは?」
「あ、ああ。ご苦労。この2人は、こちらで対処する。」
「はっ!」
「ひとまず、落ち着けるところで、話をしよう。」
「わかりました。」
地下から出た私たちは、現場を処理する騎士を数名置いて、アルトゥール枢機卿や他の騎士たちと、ひと足先に聖都に向かうのだった。
―――――
聖都。
聖国の首都で、各神殿の総本山、大神殿がある場所。
観光名所はもっぱら、大神殿か建造物との事。
例の捕まっていた廃村から、馬車で4日かかった。
子どもたちは、親が見つかるまで、大神殿に保護されることになった。
親がいない、親に売られた子は、聖都の孤児院に預けられるそう。
リアムは、あれからも私から離れようとしなかった。
なので私と、リアムは、事情聴取が終わるまで、大神殿に滞在することになった。




