間夜6
聖国枢機卿アルトゥール・ラウレンツは、ここ1年で、頻繁に起きている誘拐事件に、頭を抱えていた。
事件が発覚したのは、聖国枢機卿セドリック・ブレンダンの娘が、誘拐されたからだ。
調べていくと、聖国内で、何件も誘拐されていることがわかった。
対象は、10歳前後の男女。
貴貧関係なく、行方不明になっていた。
何故発覚しなかったのかと言うと、親がわざと子どもを売ったケースも何件かあったからだ。
また、全てが同一視されていなかった。
ただの平民の子を探すのに、人手を割けないと探すことすらしていなかったと言う。
聖国上層部だけでなく、神殿騎士も腐っていたのか、と改めて、溜め息を吐いた。
これ程の規模の誘拐なのだ。
かなり大きな組織的犯罪だろう。
拠点も複数あるに違いない。
第3部隊だけで、足りるだろうか?
早く見つけないと、子どもたちの生存が危ぶまれる。
コンッコンッコン
「誰だ?」
「神殿騎士第3部隊長バルトルト・ブラッドリーです。」
「入れ。どうした?」
「はっ!既に廃村になっている場所に、怪しい人の出入りがあるそうで、数日前に子どもの人影を確認しました。」
「でかしたぞ!私も向かおう。」
「枢機卿が、ですか?」
「私は、神殿騎士上がりだからな。心配ない。行くぞ。」
「はっ!」
第3部隊が確認した廃村へ、急いで向かった。
馬で3日の距離に、その廃村はあった。
既に第3部隊で、廃村を囲っている。
逃げられる心配はない。
隠れて様子を窺っていると、一台のに馬車が到着した。
そこから出て来たのは、女の子。
男たちに引っ張られて、連れて行かれた。
「間違いないな。」
「どうしますか?」
「無闇に突入しても、子どもが人質になるだろう。どうすべきか…。」
いくつか作戦の提案はあったが、そのどれもが子どもに危険だ。
頭を捻っていると、突然地面が揺れた。
そして、廃村の一角が、崩れ落ちている。
「急いで出る!生存者の確認だ!」
「はっ!!」
瓦礫を潜り抜け、辿り着いた先には、信じられない光景があった。
子どもを背に庇い、化け物と対峙する黒いドレスの少女。
少女の足元から影が飛び出し、化け物を追い詰める。
そして、捕えられた化け物。
少女が何事かを呟くと、化け物の足元に扉が現れ、化け物を飲み込んで消えた。
「こ、これは、一体。」
こんな所で固まってはいけないのに、呆然と立ち尽くしてしまった。




