表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜を待つ  作者: 氷桜 零
聖国編
30/37

24夜


「ひっ…」


「怖い…助けて。」


「グスッ…」


限界を超えた子どもたちが、泣き始める。


魔法陣の中心が、黒い水溜まりのようになった。

そこから、何が這い出してくる。

ドロドロとした、瘴気を纏った、手から頭、身体、最後に足。


「おお…成功したぞ!闇の精霊を呼び出したのだ!」


……はい?

いやいや、アレと一緒にしないでほしい。全然違う!

風評被害ー!


そんな事を、考えている場合ではなかった。

考えを振り払うように、頭を振る。


おそらく彼らは、闇の精霊を召喚しようとしたのだろう。

そもそも、人間に、精霊は召喚できないと言うのに。

それに加えて、間違った魔法陣。


その結果、精霊ではなく、邪霊を呼び出したのだ。


……愚かな事。人間は、碌な事をしない。はぁ……


大人はどうでもいいが、子どもたちを守らないと。


邪霊はゆっくり、子どもたちに向かっている。


離れた位置にいる、子どもたちに手を差し出し、クィっと指を曲げる。

子どもたちを風が取り巻き、私の側へ運んでくれる。

私は、子どもたちを守るために、前に出た。


「お、お前、魔法師か!」

 

「ちっ!そのガキを捕まえろ。」


男たちが剣を手に、向かってくる。


〈落ちろ〉


天井を指差して、力を振るう。

天井は轟音を立てて、男たちに直撃した。

身体は見えない。

赤い血だけが、地面に広がる。


「グスッ…」


「大丈夫よ。あなたたちは、傷つけさせない。結果を張るから、ここで待って。」


子どもたちを安心させるために、優しく微笑む。


〈結界〉


ここの子どもと、ついでに、別室にいるだろう子どもたちにも、結界で保護する。

これで万が一にも、巻き込まれることはない。


「ひーば、化け物!!」


「失礼ね。どちらが化け物なんだか。」


イラっとして、足元を氷漬けにした。

あっちの人間より、今は、邪霊の対処が先。

私は邪霊に向き直った。


普段は抑えている、闇の精霊力を解放した。

自身を精霊力で、漆黒に塗りつぶす。


髪は白から漆黒に、目は赤から紫水晶に。

漆黒のドレスとベール。


誰よりも圧倒的な存在感。

そこには、私本来の姿があった。


「えっ…」


「綺麗…」


サッと腕を振ると、私の影が伸びる。

向かう先は、邪霊。

右へ左へ、順応無尽に飛び回り、逃げる邪霊。

影は、追跡を緩めず、壁際に追い詰める。


ギャァァーーー


邪霊は、魂を引き裂くような悲鳴をあげる。


「捕まえた。」


影が邪霊に巻き付き、締め上げる。


〈眠りの時間よ。深淵へ誘いましょう。〉


邪霊の足元に、深淵への扉を開いた。

扉から無数の手が飛び出し、邪霊を深淵へと引き摺り込む。


パタンッ


音を立ててしまった扉は、空気に溶けて消えた。


「こ、これは、一体…?」


崩れた天井を潜り抜け、新たな人間がやって来た。

彼らは、呆然と立ち尽くすしかなかった。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ