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夜を待つ  作者: 氷桜 零
聖国編
28/37

22夜


神官は、静かに語り終えた。

 

ここは始まりの地であり、終わりの地でもある。

ただ純粋に、闇の子らに贖罪する場所なのだ。


私自身、何が原因かなんて、考えていなかった。

気づけば闇の子らが迫害され、差別されていた。

何度も止めようと声を上げ、他の精霊王たちに助力を頼んだ。

けれど、ダメだった。

だから夜を取り上げた。

ただ現状を見て、対処しただけ。


そう言った事情があったのは、初めて知った。

なんとも言えない気持ちになる。


人は弱いから、恐怖に負けたのだろう。

きっと、誰が悪いとかではなかった。


ただ、あの時代は、明確な敵が必要だった。

その対象が、彼になってしまった。

 

元々、差別はあった。

差別を加速させてしまったとしても、彼だけのせいとは、責められない。


私は答えのない考えを、グルグルと頭の中で繰り返した。


神官にお礼を言って、小神殿を出てきた。

当てもなく、ブラブラと歩く。


複雑な気持ちにはなったが、この村に来てよかったと思う。

消化しきれない気持ちが、胸奥を重たくした。




―――――


ミュラー聖国。

各国にある神殿の総本山。

宗教と政治が一体となっている、珍しい国。

昔は、闇を除いた5柱の精霊王を祀り、信仰していた。

今は闇を含めた、6柱を信仰しているそう。

信仰心が深い人ほど、一度は訪れたい国として、憧れているらしい。

そして、地上を代表する大国の一つでもある。



そう、そのはずなんだけど…


私は今、手足を縛られて、布をかまされ、樽の中に入れられている。

何故そんな事になっているのか、理由は簡単だ。

聖国に入国し、国境付近の一番大きな街で宿をとった。

別に変な宿ではない。

資金はあるので、上の下ランクの、安全だと評判の宿に泊まった。


初めの3日は、特に何もなく街を観光していた。

問題だったのは、3日目の夜中だろう。

普通に宿で寝たはずなのに、近くで声がしたから目を開けた。

すると知らない男が2人、部屋の中にいた。

間違いなく鍵はかけていたし、壊された形跡もない。

驚いて固まった私を、1人の男が羽交締めにして、薬を嗅がせた。


で、意識を失って、目が覚めたら今の状態だった、と。


ちょっと、意味がわからない。

それに、街の宿で誘拐って…治安悪過ぎない?


振動からして、荷台か馬車で運ばれているのだろう。


逃げるのは難しくない。

転移でも、何でも逃げられる。

気になるのは、その目的。

ただの金目的とかなら、いいけど、何か別の目的があるなら…


何だろう、嫌な予感がしてきた。

また、何かに巻き込まれているような…


私は、ため息を噛み殺した。




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