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夜を待つ  作者: 氷桜 零
帝国編
26/37

21夜



砂漠地帯をショートカットして、帝国内をただひたすら歩く事、半年。

途中、我慢ができずに、度々ショートカットした事は仕方がないと言える。


そのおかげで、色々な街や村を見ることができた。

旅人を歓迎する村、余所者を警戒する村、犯罪者だらけの村、善人すぎて心配になった村…。

本当に、色々あった。

1つ言えるのは、同じ村がなかった事。

 

善人がいれば、悪人がいる。

逆に言えば、悪人がいれば、善人がいる。

知っていた、わかっていたつもりだったけど、わかっていなかった。

悪い人しか見えておらず、大多数が悪いからと、全てを悪と決めつけた。

けれどもっと冷静になって見てみれば、闇の子を守っていた人だっていたはず。

私は、それをなかった事にした。

視野がとても狭かった。

この旅は、それを気づかせてくれた。

私にとって、とても意味ある事だった。


最後が何処に行き着くか、私にもわからないけど、ちゃんと公平に判断しよう。

そう、思った。




 ―――――


やっと着いた、国境沿いの村。

帝国最後の村。

ここで休憩してから、聖国に入るつもり。


小さな村なので、門番すらいない。

のんびりと長閑な村。

井戸端会議をしている女性たち。

村を走り回っている、小さな子どもたち。

畑仕事している男性。

これと言って特徴的な村ではない。

 

けれど、少しの違和感。

歩きながら、家々を眺める。

 

「あ……。」


違和感に気がついた。

黒く塗られた、双子月と星のシンボル。

それが全ての家に飾ってある。

 

どの家も、見やすい位置に飾ってあるから、逆に違和感に感じたんだ。


それに、大人も子どもも関係なく、皆、そのシンボルを何処かに身につけている。


歩いていると、大きなシンボルを掲げた建物があった。

 

小神殿だろうか?

 

気になったので、建物に入ってみた。


「おや、見かけない方ですね。旅の方ですか?」


「はい、さっきこの村に着いたばかりで。」


「それはそれは。ようこそいらっしゃいました。あなたに夜の祝福があらんことを。」


「夜の祝福…?」


「ええ。ここは夜の方、闇の精霊王を信仰している村なのですよ。各家庭のシンボルを見ましたか?あれが、信仰の証なのですよ。」


「闇の精霊王を信仰している村は、他にもありましたが、各家庭にシンボルを飾っているのは初めて見ました。」


「ああ、そうですね。確かに珍しいでしょう。1つ昔話を聞いていただけませんか?」


「え?ええ、はい。」


神官は、静かに語り始めた。




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