1夜
ラージス王国ジルクニア辺境伯領。
東を大国のツェアドラ帝国と接しており、北に『魔獣の領域』と接している重要拠点である。
特に『魔獣の領域』は、夜が消えてからずっと、緊張状態である。
いつ何時、『魔獣の領域』から出てくるかわからないため、監視の目を緩められない。
緊迫した場所であると同時に、ラージス王国で5本指に入る豊かさを持っている。
ツェアドラ帝国との交易地であるため、たくさんの商人が行き交う。
また、『魔獣の領域』にいる、貴重な魔獣の素材、貴重な薬草、それを求めた商人や冒険者などが多く集まる土地でもある。
私は、そんな辺境伯領の、さらに東の辺境であるマラルに生まれた孤児。
名前はレイシィ。
現在、10歳の少女である。
このご時世、子供は貴重なので、捨てる事はまずない。
夫婦で育てられなくても、村の誰かが喜んで引き取るからである。
けれど、私は孤児だ。
マラル唯一の孤児。
おそらく、辺境伯領でも、唯一なのではないだろうか?
ある意味貴重な存在である。
私が孤児になった理由、それは、私の体質にある。
私は、透けるような真っ白な肌と髪、紅い目を持つ。
生まれつき『日光病』と言う、珍しい病を持っている。
強い光にさらされると、肌が焼け爛れてしまう。
人に移るものではないことは、安心である。
だが、室内室外関わらず、肌を隠す服装でいなければならない。
外に出るときは、さらに厳重に、日傘やストール、帽子などで顔を隠す。
村は、こんな大変な私を育てられないとして、捨てた。
4歳頃のことである。
そんな私を拾ってくれたのは、たまたま村に滞在していたジルクニア辺境伯である。
私は、ジルクニア辺境伯家で育ち、今は行儀見習いをしている。
子どもは生まれづらく、また実年齢よりも幼く見える私は、周りの大人にとても可愛がられている。
辺境伯家の皆様にも、よく頭を撫でられおやつをいただいている。
孤児としては、とてもありがたい話である。
行儀見習いと言っても、それほど労働が多いわけではなく、お手伝いの範囲である。
後は、基本教育に加え、私自身が興味のあることは、大抵何でも学ばせてくださる。
辺境伯家なので、いろんな分野のエキスパートが揃っている。
知らないことを学ぶのは、とても面白い。
皆、ここぞとばかり、色々教えてくれる。
私は、そんな辺境伯家が大好きなのだ。




