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夜を待つ  作者: 氷桜 零
王国編
18/37

14夜


闇の領域。

それは、私が作った箱庭。


私が夜を取り上げる前、地上は、闇属性にとって、非常に生きづらい世界だった。


闇魔法の適正者も、私が加護をあげた子も、私を信仰する者も。

何もしていなくても、悪だと決めつけられた。


私が声を上げても、他の精霊王が忠告しても、何も変わらなかった。


闇属性の子らは、我が子も同然。


たくさんの我が子らが、理不尽に差別され、虐げられ、殺された。


だから私は、彼らが差別されない居場所を作った。

地上と隔絶した、闇の子らだけの、穏やかに暮らせる、幸せの箱庭を。


それが、闇の領域と呼ばれる箱庭だ。

この箱庭を知っているのは、闇の子らだけ。

誰にも触れさせない、私の領域。



ーーーーー


ここに来たのは、300年ぶりだろうか。

最後の1人を掬い上げてから、しばらく眠りについたので、来ることができなかった。


けれど、闇の繋がりで、いつも我が子らを見守っていた。

眠りについても、闇の領域だけは、繋がりを残していた。


子どもたちの気配を感じながら、闇の領域に降り立った。


「ノワール様!」


「ノワール様だ!」


「こうして、面と向かって会うのは久しぶりね。」


すぐに気がついて、子どもたちが駆け寄ってきた。

子どもたちに腕を引かれるまま、皆のいる憩いの広場へ行った。


この箱庭で出会い、結ばれて、子どもができた子たちもいる。

死にたいと思わなければ、死ぬことすらない。


「ノワール様、お疲れですか?」


「…最近、地上に降りているの。時間が経って、地上の人がどれだけ変わったかを見るために。」


「どうでしたか?」


「…良い人も、悪い人もいた。今は、最終確認のために、一石を投じたの。その結果を見てから、あの世界の命運を決めるわ。」


「そっか…」


「皆は、どうしたい?もちろん、このままここにいても良い。もし戻りたいなら、全力でサポートするわ。あの頃は、選択肢をあげられなかったから。」


皆、お互いの顔を見合わせる。

困惑の気持ちが強いようだ。


「今すぐに、決めなくて良い。そう言う選択肢があると、覚えておいてくれたら、それで良いから。さて、みんなの話も聞かせてちょうだい。」


気持ちを切り替えるように、声のトーンを上げる。

その後は、地上の話に一切触れず、聞き役に徹した。


まだ、選択肢を提示するのは、時期尚早だったかもしれない。

彼らが、自分の意思で歩き出せるまで、私はまだしばらく見守ろう。



いつか、その時が来るまで。






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