14夜
闇の領域。
それは、私が作った箱庭。
私が夜を取り上げる前、地上は、闇属性にとって、非常に生きづらい世界だった。
闇魔法の適正者も、私が加護をあげた子も、私を信仰する者も。
何もしていなくても、悪だと決めつけられた。
私が声を上げても、他の精霊王が忠告しても、何も変わらなかった。
闇属性の子らは、我が子も同然。
たくさんの我が子らが、理不尽に差別され、虐げられ、殺された。
だから私は、彼らが差別されない居場所を作った。
地上と隔絶した、闇の子らだけの、穏やかに暮らせる、幸せの箱庭を。
それが、闇の領域と呼ばれる箱庭だ。
この箱庭を知っているのは、闇の子らだけ。
誰にも触れさせない、私の領域。
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ここに来たのは、300年ぶりだろうか。
最後の1人を掬い上げてから、しばらく眠りについたので、来ることができなかった。
けれど、闇の繋がりで、いつも我が子らを見守っていた。
眠りについても、闇の領域だけは、繋がりを残していた。
子どもたちの気配を感じながら、闇の領域に降り立った。
「ノワール様!」
「ノワール様だ!」
「こうして、面と向かって会うのは久しぶりね。」
すぐに気がついて、子どもたちが駆け寄ってきた。
子どもたちに腕を引かれるまま、皆のいる憩いの広場へ行った。
この箱庭で出会い、結ばれて、子どもができた子たちもいる。
死にたいと思わなければ、死ぬことすらない。
「ノワール様、お疲れですか?」
「…最近、地上に降りているの。時間が経って、地上の人がどれだけ変わったかを見るために。」
「どうでしたか?」
「…良い人も、悪い人もいた。今は、最終確認のために、一石を投じたの。その結果を見てから、あの世界の命運を決めるわ。」
「そっか…」
「皆は、どうしたい?もちろん、このままここにいても良い。もし戻りたいなら、全力でサポートするわ。あの頃は、選択肢をあげられなかったから。」
皆、お互いの顔を見合わせる。
困惑の気持ちが強いようだ。
「今すぐに、決めなくて良い。そう言う選択肢があると、覚えておいてくれたら、それで良いから。さて、みんなの話も聞かせてちょうだい。」
気持ちを切り替えるように、声のトーンを上げる。
その後は、地上の話に一切触れず、聞き役に徹した。
まだ、選択肢を提示するのは、時期尚早だったかもしれない。
彼らが、自分の意思で歩き出せるまで、私はまだしばらく見守ろう。
いつか、その時が来るまで。




