9夜
私が夜を守ったのは、あの日だけの特別。
あの日以降、再び夜は来なくなった。
夜を戻すかどうかは、今後に期待。
それに、今、夜を戻したいと思ってもできない。
長く夜がないせいで、地上にいる闇の精霊たちは、眠りについてしまった。
夜を戻すには、闇の精霊を起こすことと、人々の純粋な信仰が必要。
なので、今は、どう頑張っても無理なのだ。
あの日から、私の日常は、変わ…らなかった。
辺境伯様方に、今まで通りで、と頼んだからだ。
頭を抱えさせてしまったけど、了承してくれた。
闇の精霊王のことを何処まで公表するかは、試練の一環として、各国に任せることにした。
ただ、レイシィ=ノワールであることは、胸の内に秘めてもらう。
だってそうしないと、色々な場所に行って、観察することが出来なくなるから。
諸々のことを打ち合わせして、ヴァルドは帝国に帰って行った。
帰り際に、帝国へ来ることがあったら連絡するように言われた。
そのうち行くことになるから、お世話になるだろう。
ヴィラーシュ様とリカルド様は、明日、王都に戻る。
もちろん、罪人になったキャロライン様と、瘴気が気になる私も、一緒に行くことになった。
なので、今日はお休みをいただいて、王都行きの準備をすることになった。
……の、だけど…
「ノワール、聞いているんですか!?」
「聞いてる。」
「私たちがどれだけ心配したか!」
「本当よ〜。すごく寂しかったんだから〜。」
「どうして、真っ先に連絡くれないんだ!?」
「………」
やいのやいの、言っているのは、他の精霊王たち。
光の精霊王リヒト、火の精霊王サラマンダー、水の精霊ウィンディーネ、風の精霊王シルフ、地の精霊王ノーム。
私の2度にわたる、力の放出によって、闇の力を感知した精霊王たちが、まとめて会いに来ていた。
1柱ならまだ良いけど、こんなにも集まると、本当に五月蝿い。
私は心の中で溜め息を吐きながら、黙って聞き役に徹したのだった。
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翌日の朝。
今日も今日とて、綺麗な青空。
王都への出発日和。
また、晴天はいつものことだけど、それは置いておく。
ヴィラーシュ様とリカルド様の見送りだと思っていたら、私の見送りもしてくれた。
道中食べれる、日持ちしたお菓子や、暇を潰せる刺繍に本。
色々と、プレゼントしてくれた。
今回私は、リカルド様の侍女として、ついて行くことになった。
年齢的には見習いだが、侍女教育はいつの間にか終わっていたそう。
なので、侍女として同行することになった。
ちなみに、既に淑女教育も済んでいたらしい。
普通を知らないせいで、全く気が付かなかった。
そうして、皆に見送られながら、辺境伯家を後にした。
王都まで、1週間の道のり。
何も起きませんように!




