8夜
室内の誰もが、ショックを隠しきれない。
私側の真実に、言葉が出ないようだ。
これで、目的である警告はできた。
だから、これは、私からの特別なご褒美。
そして、同時に、本当に最後の試練。
「アーノルド・ジルクニア、リカルド・ジルクニア、ヴィラーシュ・ラージス、ヴァルドルツィオ・ツェアドラ。自らの命を顧みず、弱き者を救う。その心に敬意を示し、あなた方に、闇の精霊王ノワールから、加護を授けましょう。」
闇の恩恵のないこの世界に、一石を投じる。
彼ら自身、彼らを取り巻く人々、その対応を見せてもらいましょう。
それによって、この世界の命運が決まる。
「あなた方を通して、この世界を見てみることにします。」
この選択が何を生むのか、誰にもわからない。
「色々、思うことがあるでしょう。ゆっくり休まれるといいでしょう。今宵は、私が眠りを守りましょう。」
ーーーーー
静かな夜に、ハープの音が流れる。
初めての、本物の夜。
生まれて初めての夜に、興奮しながらも穏やかな眠りにつく。
皆が寝静まった深夜。
私は1人、城壁の上で、ハープを奏でる。
夜に相応しい、子守唄。
コツッ。
私の背後で、ハープに消えてしまいそうな、小さな靴音が鳴る。
「良い夜だな。」
そこにいたのは、皇帝陛下。
1人で、ここに来たらしい。
「ええ。今宵は、私が守っていますから、あなたもお休みになっては?」
ハープを止めないまま、話をする。
「ヴァルドルツィオ…ヴァルドと。」
「ヴァルド?」
「ああ。」
ヴァルドが私の横に座る。
「何故、俺やヴィラーシュ王太子に加護を?辺境伯家ならまだしも。」
「理由は、あの時、伝えましたよ?」
「全てでは、ないだろう。」
しばし、無言でハープを奏でる。
ヴァルドは、答えを聞かないと、帰らないらしい。
「………魅了されたから。戦っているあなた方を見て、その目に、魂の輝きに魅了されたから。」
とても美しく思えた。
まるで、夜空に浮かぶ、双子月のように。
「ふーん。なら、もっと魅了させてやろう。お前に、唯一だと、言わせてやる。」
それだけ言って、ヴァルドは帰った。
「……?何だったのかしら?」
言葉の意図が理解できないまま、静かな夜は過ぎていった。




