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夜を待つ  作者: 氷桜 零
王国編
12/37

8夜


室内の誰もが、ショックを隠しきれない。

私側の真実に、言葉が出ないようだ。


これで、目的である警告はできた。

だから、これは、私からの特別なご褒美。

そして、同時に、本当に最後の試練。


「アーノルド・ジルクニア、リカルド・ジルクニア、ヴィラーシュ・ラージス、ヴァルドルツィオ・ツェアドラ。自らの命を顧みず、弱き者を救う。その心に敬意を示し、あなた方に、闇の精霊王ノワールから、加護を授けましょう。」


闇の恩恵のないこの世界に、一石を投じる。

彼ら自身、彼らを取り巻く人々、その対応を見せてもらいましょう。

それによって、この世界の命運が決まる。


「あなた方を通して、この世界を見てみることにします。」


この選択が何を生むのか、誰にもわからない。


「色々、思うことがあるでしょう。ゆっくり休まれるといいでしょう。今宵は、私が眠りを守りましょう。」




ーーーーー


静かな夜に、ハープの音が流れる。


初めての、本物の夜。

生まれて初めての夜に、興奮しながらも穏やかな眠りにつく。


皆が寝静まった深夜。

私は1人、城壁の上で、ハープを奏でる。

夜に相応しい、子守唄。


コツッ。


私の背後で、ハープに消えてしまいそうな、小さな靴音が鳴る。


「良い夜だな。」


そこにいたのは、皇帝陛下。

1人で、ここに来たらしい。


「ええ。今宵は、私が守っていますから、あなたもお休みになっては?」


ハープを止めないまま、話をする。


「ヴァルドルツィオ…ヴァルドと。」


「ヴァルド?」


「ああ。」


ヴァルドが私の横に座る。


「何故、俺やヴィラーシュ王太子に加護を?辺境伯家ならまだしも。」


「理由は、あの時、伝えましたよ?」


「全てでは、ないだろう。」


しばし、無言でハープを奏でる。

ヴァルドは、答えを聞かないと、帰らないらしい。


「………魅了されたから。戦っているあなた方を見て、その目に、魂の輝きに魅了されたから。」


とても美しく思えた。

まるで、夜空に浮かぶ、双子月のように。


「ふーん。なら、もっと魅了させてやろう。お前に、唯一だと、言わせてやる。」


それだけ言って、ヴァルドは帰った。


「……?何だったのかしら?」


言葉の意図が理解できないまま、静かな夜は過ぎていった。




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