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夜を待つ  作者: 氷桜 零
辺境伯領編
1/8

前夜

ある日、この世界から闇の精霊が消えた。



この世界には6属性の精霊がいた。

その中で、闇の精霊はこの世界の人から嫌われていた。

闇の精霊の加護を持つもの、闇魔法の適性を持つもの、闇の精霊を信仰するものが世界中から迫害を受けていた。


闇の精霊王は怒り、悲しみ、ついに世界から闇を取り上げ、自身も姿を消した。


多くの人は闇が消えたことで喜んだ。

しかし、次第に気づくのだ。

いつまでたっても、夜が来ないことに。


初めはそれでも、気にする者はいなかった。

月日が流れ、徐々に異変に気づきはじめた。

夜が来ないことで安寧な眠りが来ない。

眠っても疲れが取れず、生きるのに大切な魔力がなかなか回復しない。


草木や作物がうまく育たず、それによって動物が弱っていく。


逆に魔獣は凶暴化するばかり。

不安定な精神と肉体の疲労と魔力が回復しにくいことで、魔獣による被害が拡大した。


それは精霊にも同じことが言えた。

闇の精霊は、精霊同士の緩衝の役割を持っていた。

相性の悪い精霊同士が、ぶつかり合うことになってしまった。

それだけでなく、精霊に唯一安らぎを与えられる存在であったため、それを失くした精霊は次第に弱り、または暴走しはじめた。

精霊の弱まりや暴走は、天変地異を引き起こした。


次に、ずっと日が出ていることで次第に水不足に陥った。

普通なら寒い地域であるはずが、雪は降らず、時おり雨が降って水が溜まったとしても、日照りで乾いてしまう。


そしてもう一つ。

すべての生き物に、子どもが生まれにくくなってしまったのだ。

子どもは生まれないが、死はいつでもすぐそばにある。

少しずつ、生き物の数が減少していった。


闇の精霊が司るのは、闇、夜、精神、眠り、調和、生死。

その全てがなくなったことで、世界は緩やかに、しかし確実に滅びへと向かっていた。


こうなって初めて、人は思うのだ。

闇の迫害が、この世界の根源たる精霊王の1柱を怒らせたのだと。


しかし、もうすでに遅かったのだが…。


嘆いても、祈っても、人々の願いは叶わない。




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