第8話 忘れられないイベント
周年記念ということで、私の街では人気キャラクターのイベントみたいなものがあった。
私はちっとも興味がなかったし、勉強がしたかった。
しかし母が行こうよ、と誘ってきた。もちろん拒否した、行きたいなら一人で行けと言った。最初は優しく言っていたが私の意思が強いと知るとだんだんイライラしてきて、暴言を吐くようになった。
昔先生と問題になったことがあって、そんなんだから先生にいじめられるんだ、あの先生はあなたを「見抜いて」いた、どうしてあんたなんかが生徒会に、だの。
それは私にとって思い出したくない経験だった。それに私を生徒会に選んだのは先生だ、そう言った。
親に口答えするなんて失礼だ、と言われて殴られた。
「失礼」と言われたのも、顔を殴られたのも初めてだった。両手で何度も何度も殴ってきた。いつもは腕や腰、お腹とかだったのに。いわゆる平手打ちではなく顔面をつぶすような、めりこんでくるもので、ものすごく痛かった。涙を堪えるのに必死だった。
それからも色々言われたが、このまま勉強できないなら、と思った隙に無理やり連れて行かれた。
しかし私たちの場所からは何も見えなくて、未だジンジンとする痛みのまま無駄に終わった。
そのあとすぐ父が帰ってきて母は機嫌がよくなったようで、笑顔も見せるようになった。痛みが治まらず、深く傷ついている私とは反対に。
それから普通に話しかけてきたが私に一言も謝罪はせず、「悪いのはあなただ」の一点張り。謝罪が欲しかったわけではないが自分が良くなかったという自覚がないいつもの姿に、密かに涙を流した。




