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第3話 憂鬱な行事

私の中学校からも入賞者がいた。先輩だった。その先輩は覚えるのが面倒くさい、やりたくないなどと言っていた。ああ、私だったらこんな不満は言わず頑張れるのに、と思い私は胸が痛くなった。


しかし悲しむばかりではいられなかった。すぐあとに体育大会が控えていた。


体育大会自体はそれほど嫌ではなかった。問題は親が来ることだった。


以前の参観日の時、決まって母に書く時の姿勢が悪い、声が小さい、おどおどしているなどと、褒められたことには言及せず私を責め、叩かれた。小学校の時も足が遅い、必死に頑張っていない、笑っていないと散々言われた。周りからはそう見えなくても私なりに全力で頑張っているつもりだった。


父も、嫌だと言っても来るのを止めたことはなかった。私が本気で嫌がっているのではないと思っているらしい。以前問いただしたら笑っていた。信じられなかった。


私は恥ずかしくて来るのを辞めてほしいのではない。本当にストレスなのだ。たとえ家族がこんなのではなかったとしても、知っている人に見られていると思うと全力は出すものの100%ではないような気がした。


それを母に打ち明けたこともあった。しかしその度に「悪い子だ」「おかしい」などと、思った通りだったが少しでも期待した自分に腹が立った。


体育大会当日。視力はCなのに親の姿はよく見えた。


家に帰って一言目。

「どうして頑張らなかったの?」


後で映像を見返してみると必死で走ったのにもかかわらず思ったよりは遅かった。しかし私はそれ以上速く走ることはできない。


この夜も声を殺して泣いた。


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