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第二話 不機嫌な人形少女

 ひんやりとした空気が肌を撫でる。

 湿り気を帯びた風が通路を流れ、壁に染みついた苔の匂いを運び、冷えた石の床に足を踏みしめるたびに、靴底がわずかに湿った音を立てた。


 私達は迷宮に入ってどれくらい歩いたのだろう。


「おい大丈夫かフウカ?」

「フウカ……気張りすぎだよ?もうだいぶまともに寝れてないんじゃない?」

「…………全然余裕です。早く元の世界に帰りたいですから……私はまだまだ頑張れます」


 見通しが甘かった。

 迷宮に入ってしまえばこっちのものだと思っていたのに、全然そんな事はない。

 流石は最難関と云われるだけある。

 道理でアイツらが付いてこないわけだ。


「なあ、そろそろこんなくだらねぇことヤめん?こんナの時間の無駄だって。一旦城に帰らね?」


 私の思いとは裏腹に、1人のクラスメイトが気怠そうにそんな事を言い出した。


「あぁ? 何言ってんだクソデブ。誰のおかげで今の状況を作れていると思ってるんだ?」


 聖也君が1人の男子に食ってかかってしまった。

 でも、一番文句を言いたい相手は、きっと私なのだろう。

 あの時、倒れている彼に意見も聞かず、勝手に決断したのだから。


「そんな怒ルなよ。まずヨく考えてみてほしい。俺達はここに召喚された時二全員がトんでもナい力をもらってルんだぜ?」

「はぁ?」

「この力を使いこなスために三年モ修行しテ、今は魔王を討伐するたメの伝説の武器とヤらを、この迷宮から回収するなンて理由で、何日もこノ薄暗イ場所を彷徨ってルけどヨぉ」


 ……なんだろう。

 何か直感的な感覚でしかないけど、とても嫌な感じがする。

 

 他のみんなは呆れたような視線を、この馬鹿に送りつけてるだけだ。

 でも私はこの男に、これ以上喋らせ続けてはいけないような、そんな予感が……


 念のため私は剣の柄に片手を置いて、男の話の続きを聞く事にした。


「城の人間やこの世界の奴等は理解していないみたいだけどな、俺らは強いんだ。神に選ばれし人類。そう強い。だからわざわざこんな場所で時間を潰す必要もない」

「救えない馬鹿だな……このデブはもう今日は駄目そうだ。フウカ、今晩は俺が見張るからお前も寝ろ」

「ソウ!強イ!美味イ!食ベル!」

「…………いえ、そうはいきません。というか……」

「満ちるみちるミチルううううぅぅぅぅぅぅぅ」


 目の前の男が首を激しく振っていた。

 さながら何かを拒絶するように。

 

 ……私に宿る加護が言っている。

 これは異常事態だ。

 迷宮の中というのも相まって、地上の危険とは比べ物にならないくらい、まずい事態な気がする。


 特に気味の悪いところは、この男の異様さに気づいているのが私だけという点だ。

 まるで私以外の全員が幻術に掛かっているように思えて、凄く気持ち悪い……


「んオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


 そんな事を考えている中、悪態を吐いていた男が突然叫び出し、自身の頭を激しく壁に打ちつけ始めた。


「え?いきなり何しだしてんのアイツ」

「ちょ、やめろデブ! ここが崩れるだけならまだしも、下手したらやべぇトラップが作動しちまうだろうが!!」


 ようやくみんなも様子のおかしさに気づいたようだ。

 そして見ていられなくなったクラスメイトの男子組が、発狂している男の拘束に掛かる。

 ……だが男は捕まる寸前、自身の加護を使い、取り押さえに掛かった男子組を容易く吹き飛ばしてしまった。

 

 そして今度は魔力と加護の力を込めた拳で、壁を黙々と殴り始め……


「……お前マジでふざけるなよ。その力まで使うなら、こっちも多少怪我をさせるつもりで行くからな」


 聖也君が怪我をさせるつもりで止める、などと言っているが……その言葉はとても悠長に聞こえた。

 

 頭に鳴り響く警報は、今までにないほど大きい。


 ――すぐにここでコイツを殺さないと、恐らく間に合わない。


「駄目です。そんな事を言っている時間は……恐らくありません…………今すぐこの人を殺します」


 数年ぶりに降りかかるトロッコ問題だ。

 あの時は全ての決断が遅く、最低な形として未来が進んでしまった。

 なら、ここではどうか?

 

 仲間殺しなんて今までやった事がない。

 それも同郷の人に手を出すなんて……

 ……いや、ここで迷ったら全員が死ぬ。

 これはそういう事態だ。


 私は剣を鞘から引き抜き魔力を込める。

 そして自身の加護の望むままに構えを取ったが……


「待て待て待て!! 早まりすぎだろ。何考えてんだ!」

「そうだよフウカちゃん!落ち着いて!!ずっとみんなで頑張ってきたじゃん!」

「自分が1番強いからって何しても言い訳じゃないよ」


 クラスメイト達が発狂している男の前に、立ちはだかってしまった。

 当たり前だ。

 私が急ぎ過ぎているようにしかみんなには見えないし、自分でも何を焦ってるのかと思う。

 

 ……だけど一つ理解できない事がある。

 

 戦闘態勢に入った今気づいた。

 

 加護が指し示す標的はこの場の全員である事に。


「アアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!」


 そして時間を稼がれたその一瞬の間に、男は壁に大穴を開けて、役目を終えたように眠りにつく。

 クラスメイト達に対する、神の危険信号も消えた。


 穴の先は何かの部屋になっているようだけど目立った物は見えず、武器や道具が隠されているわけでもなく、魔物の姿もない。


「あれ、私は何してたの?」

「は?なんでコイツ1人だけ寝てんだよ。おい起きろ!」

「何この部屋〜、いきなり現れたけどこの部屋の中に伝説のアイテムが隠されてたり〜?」

「フウカは剣を構えて何をやってるんだ?」


 みんなの様子からすると直前の記憶が飛んでいるようにも見える。


 何はともあれ、何も起きなくて良かったけど……

 

「私の気のせい……だった?」


 加護の誤動作というのも考え辛い。

 ここまでこの力に生かされたのだから、このタイミングでそんな馬鹿なことがあっては困る。

 

 一度剣を鞘に戻し、遠くから部屋の奥をもう一度注視した。


 よく見えないけど何か……何か大きなものが描かれている。

 確かアレは………………


 ――――――転移トラップの魔法陣!!!!!


 まずい事になった!!


「みんな!!!今すぐ走ってここから逃げてください!!罠です!!!!!」

 

 声を荒げた瞬間、気絶している1人を除き、全員が迷いなくほぼ同時に走り出した。

 だけどそれと並行するかのように、部屋に明かりが灯り――光の奔流が私たちを包み込んだ。





 ---




 ゆっくりと眼を開いた。

 まださっきの閃光のせいで、視界が少しぼやけている。

 クラスメイトのみんなも同じようで、一部の人はさっきの衝撃で気絶してしまっているようだ。

 周りに満ちている魔力濃度は、今までの比にならないほど高く、息を吸うだけで酔ってしまう。


 とりあえず慣れ始めた眼で、私は周りの様子を見渡す事にした。


 目に飛び込んできたのは、岩、岩、岩。どこまでも続く漆黒の断崖絶壁。

 地層の亀裂が縦横無尽に走り、そこから無数の石の破片が今にも剥がれ落ちそうにせり出している。

 

 そして極めつけなのが……


「フウカが罠なんて叫ぶもんだから何かと思えば、想像以上だな。絶景とも言えるかもしれない……この状況で生き残れるのは恐らくお前だけだ」

「……これほど最悪な事態になったのは初めてですね。神様は私達の味方をしてくれないようです」


 ここは巣穴。

 

 この超巨大渓谷と比べても全く見劣りしない、調和していると言っていいほどの――大きな蟲たちの楽園。

 私達はそんな危険地帯に、転移トラップを通じて飛ばされてきてしまった。

 恐らくは……捕食される餌、もしくは幼虫達の苗床として。

 

 片手で数えるほどしか見えなかったけど、遠くを注視すると犠牲になった人が見えた。

 ほとんど原型を留めていないけど……


「なぁ、なんでこの状況で俺たちはまだ生きてるんだろうな」

「分かりません。蟲達の台風の目の中にでもいるんじゃないでしょうか?」


 私以外のクラスメイトの大半は、視界を覆い尽くす大量の蟲と自分の死を前にして、口を開く事が出来ていないようだ。


 どうすれば良いんだろう。

 ここから動けば死ぬ、動かなくても死ぬ。

 ……恐らく私1人で今すぐ逃げ出せば、生き残る事ができる。

 でもそれはあまりに非道だ。

 

 先ほど1人の人間を切り捨てようとした矢先に、次は間を開けず、自分以外の全員を見殺しにするという選択肢。


 あぁ、本当に……


「ね、ねぇ。フウカは強いんでしょ?王様が特別扱いするくらいだもんね?」


 渓谷の上層で飛び交う魔物に気づかれないよう、1人の女子がとても小さな、涙声で話しかけてきた。


「な、ならこの状況をどうにかしてくれるよね? 私達では何も出来なくても、双神さんなら……」


 みんなが私に期待の眼を向ける。

 3年前、モルモットになった日と同じように。

 

「はい。私がこの状況を何とかして見せます」

 

 ここが終点なのかもしれない。

 自分以外の全てを見殺しにするという決断を取らず、助けを乞う言葉に間を置くことなく返事をした時点でもう駄目なのだ。


「は?無理だろ、何の冗談だフウカ。というか何でまだここに立ってる?」

「冗談では無いですよ。それに聖也君も分かってて言わないだけですよね?」


 お父さんもお母さん、それに私を育ててくれた環境も。

 もう少し意地悪に育ててくれたら良かったのに。

 自分に善性なんてあるせいで、全部終わってしまう。

 

 次の人生があるなら……もう少し我儘に生きていきたい。


「空で飛び回る全ての蟲を私が引きつけます」

「……本気で言ってるのか?」

「はい」

「一応俺は前回、仕方ないとはいえ、フウカのせいでだいぶ割を食ってるからな。お前を見捨てて他の全てを救う道があるなら、躊躇しないと言っておく」

「充分です。最後に日本に戻ったら家族のみんなに、ありがとうと伝えておいてください」

「あぁ…………そうかよ。…………んなら、生きてたら迎えに来てやる」


 間が悪いのか、それとも丁度良いのか。

 低く唸るような羽音のリズムが変わった。

 私達の存在にようやく気づいたらしい。


 そして聖也君の声が響き渡った。


「全員聞け!フウカが囮となり、あの蟲達を引きつけてくれるそうだ!!! 生きて帰りたい奴は俺に続け!!!」


 私は腰の剣に手をかけ、ゆっくりと引き抜く。

 ここから自分の体が喰い潰されるまで、本気の時間稼ぎだ。

 何も考えてはいけない。

 剣筋を鈍らせないよう、頭を空っぽにして腕を振るうのみ。


「では……いきます!!」



 

 ---



 

 どれくらい時間が経っただろうか?

 体感は1週間以上経っているような気がするけど、実際は30分と経っていない、そんな感じな気がする。

 みんなの行動は早かった。

 気絶している人もいたけど、それは力のある人が背負って行った。

 誰一人として置いてかれた人はいない。

 私を除いて。


 自分に与えられた剣神の加護をフル稼働させても戦いに終わりは見えず、一つのミスが命取りな状況を、ギリギリで切り抜けていく。

 とても……とても苦しい時間だ。

 全てのヘイトを私が買っているせいで、背を見せて逃げるという事が出来ない。

 

 ……たらればでしかないけど、自分1人がトラップに引っかかって、まだ魔物に見つかっていないという状況なら、余裕で逃げ出せたのに……………………

 などと考えていたら、左腕が飛んだ。

 痛みに多少の耐性はあるから、そう動きを変えたりはしないけど、もう私自身の集中力が限界なのかもしれない。


「――――――ぐぅッ!」


 ほんの刹那の油断だった。

 足首に、冷たくて硬いものが絡みついた。

 反射的に引こうとしたが、動かない。

 むしろ、ぎちぎちと締めつけられてしまう。

 黒光りする異形の脚。

 節くれ立った関節が折れ曲がり、まるで鉤爪のように私の足を掴んでいる。


「はな…………せッ!」

 

 足を引き抜こうと力を込める。

 だが、無駄だった。


 カチ、カチ、カチ……


 耳の奥に響く、不快な摩擦音。

 脚の付け根からは、ねっとりとした透明な体液がじわりと滲み出し、肌にまとわりつく。

 …………捕えるだけですぐに喰おうとしないあたり、先の未来が薄らと見えてくる。


 ……どうすれば良いんだろう、ここから逃げるためにはどうすれば……

 いや、逃げる方法なんて無い。

 この蟲達の引きつけ役を買って出た時点で、運命は決まっている。

 

 コイツらとの戦闘の前に、眼に入れたはずだ。

 自分が辿る末路を、私より先に幼虫達の苗床と化した遺体を。

 ……頭の中が真っ白になり、呼吸が浅くなってどんどん思考が濁る。


「う……ぁ……」


 いやだ。

 いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ。


 視界が滲む。

 雫がぼろぼろと頬を伝う。

 唇を噛んで、かすれた声で呟いた。


「……助けて……誰か……」


 誰か。誰でもいい。助けて。

 まだ……死にたくない。

 まだ…………生きていたい。


 だけど――


 返事はない。

 聞こえるのは、ざわざわと蠢く蟲たちの音だけ。


「いや……いやだ……っ! お父さん!!お母さん!!みんな!!!!…………誰か……」


 叫んだ。

 涙を流し、喉を張り裂けんばかりに叫んだ。

 だけど、何も変わらない。

 蟲たちは容赦なく私を絡め取り、じりじりと締めつけていく。

 ……悲鳴が癪に障ったのか、右足の感覚までも消えてしまった。

 


 …………神様、私は何の為に生まれてきたんだろう。

 自分の未来がこうなるって知っていたら……考えることがこんなに辛いって知っていたら、始めから生まれようとなんてしなかったのに……

 ……もう何も目に映したくない。


 

 ――――――ズシャッ!


 

 私が全てを手放そうとした瞬間、甲高い金属音が響いた。


 直後、視界の端で何かが吹き飛ぶ。

 起きた事を理解する前に、腐肉を裂くような衝撃音が連続して響き、周囲の蟲たちが軋むような悲鳴を上げた。


 震えるまぶたをわずかに開く。

 滲んだ視界の向こう、暗闇を裂くように一筋の銀光が走るのが見えると同時に、私は意識を手放した。



 

 ---


 


 意識の奥で微かな痛みを感じた。


 重たい瞼をゆっくりと持ち上げる。

 視界はぼやけ、しばらくの間、自分がどこにいるのかも分からなかった。


 天井が見えた。

 木の梁が通った、落ち着いた色合いの天井。

 ゆっくりと瞬きを繰り返しながら、視線を巡らせる。


 柔らかな布団の感触。

 包み込むような優しい温もり。

 視線を横へ向けると、小さな窓から薄い陽の光が差し込んでいた。


「ここは…………天国……?」


 自分の記憶を辿る。

 

 確か、あの時――巨大な蟲たちに捕まって……

 ……ダメだ。

 考えてはいけない。

 私はもうあの魔物達について、悩む必要はないんだから。

 

「うぅ……」

 

 ゆっくりと上半身を起こすと、ずきりと頭が痛んだ。


 周囲を見渡すと、簡素ながらも整った部屋だった。

 壁には木製の棚が備えられ、机の上にはランプと数冊の本と……埃が被った花の髪飾りが置かれている。

 どこか温かみがあり、静けさに満ちた空間だった。


 だが、ここがどこなのかは分からない。

 そっと布団をめくり、足を床へと降ろす……


「え…………?」

 

 と同時にとんでもないことに気づいた。

 

 ひんやりと冷たい、まるで金属を触れたような、異質な感触。

 そこにあるのは白く滑らかな、まるで陶磁器のような質感の失ってしまった左腕と右足。

 関節部分には繊細な彫刻のような装飾が施され、まるで精巧な人形の肢体だった。


 動くのか気になったので、義手になってしまった手に力を込めてみた。

 

 一応ちゃんと動くみたいだけど……かなり慣れが必要な気がする。

 しばらくはリハビリに専念しないといけない。


 …………それにしても助けられてしまったんだ、あんな絶望的な状況で。

 あの地獄のような場所でまともに活動できる上に、私が苦戦していた相手をいとも簡単に倒してしまう存在。

 ……もしかしたら自分と同じく、召喚された人だろうか?


 そんな思考を巡らせていると、扉の向こうから、静かな足音が聞こえてくる。


「お目覚めかしら?」


 部屋の扉がゆっくりと開かれ、1人の少女?が入ってきた。

 鉛色の髪。

 指に銀の指輪を付けていて、頭に机に置いてある物と同じ花飾りを付けている女の子。

 遠くから見れば、ただの人間にしか見えないのだろう。

 だけど間近で見るこの女の子の体は……あまりに特殊すぎた。


「………………人形……?」

「初対面の相手、しかも命の恩人に対する一言目がそれ? まずはお礼が先でしょ」


 一目見た感じの質感的には、私に取り付けられた義肢と、ほとんど同じ素材で出来ているように見える少女が目の前に立っていた。

 ……これは人間なのだろうか?


「別に何か見返りとか期待していたわけじゃないけど、ただ通りすがりで見かけただけのあなたを助けるためにかなり苦労した身としては、お礼の一言くらい欲しいと思うのも当然よね?」


 不機嫌そうに人形少女はそう呟く。

 ジト目のすまし顔。

 顔もかなり人に似せて精巧に作っているようだけど、やっぱり人形だというのが分かる。


「ねぇ、そう思わない? 黙ってないで何か言ったらどう?」

「……あっ……すみません。少し驚いてしまいました。えっと貴女が助けてくれたんですよね」

「うん、そう」

「助けて頂きありがとうございます。その……色々と聞きたい事が山積みなんですけど、質問しても良いでしょうか?」

 

 ここはどことか私の義肢についてだったり、それにクラスメイトのみんながしっかり逃げられたのかどうかも。


「助けられた分際で早速質問とか、とても図々しいよね…………だけどまぁ良いわ」


 全然良くなさそうに見えるのは気のせいだろうか?

 人形という特性上のせいかもしれないけど、表情が分かりにくいのか、不機嫌なまま話続けているように見えて少し怖い。


「でも話の前に、あなたの名前を教えてくれない?」

「……あ、そうですね。お互いの名前を知らないですもんね」


 そう言葉を返すとすぐに、人形少女は隣で腰を下ろした。

 遠慮がない。

 

「なにその顔。一応言っておくけどここにある物全部、私の所有物だからね」

「別に何も言ってないですし思ってないですよ、あはは……えっと、私はフウカと言います……」

「フウカ、ね。覚えた。私の名前はルリン。どうせこれからしばらくは一緒に生活するんだし、今後の事を話そっか」

あとがきです


最後まで読んでもらえたようで嬉しいです。

続きもお楽しみください。

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