第二十六章 助けて
続きです。
麻衣子さんが帰った後の、誰もいない静かな病室。スマホを音声認識で画面を開く。
『リハビリ、どう?無理しないでね。』
『今日は寒いから体を冷やさないようにね。』
『また落ち着いたら話したいな。』
悠人くんからの未読メッセージがいくつも並んでいた。
彼の優しさに触れるたびに、胸が痛む。
(悠人くんは、いつも私のことを気遣ってくれる……でも、だからこそ)
それが重荷に感じる自分が許せなかった。自分では何もできず、ただ優しさを受け取るだけの存在でいることが、耐えられなくなっていた。そして、友人がいなくなってしまったこと、自分もまたいつそうなるか分からない事で頭がいっぱいだった。
(これ以上、彼に迷惑をかけたくない。あんな風な別れを、もう見たくない)
その夜、一人で窓の外を見つめていた。冷たい夜風がガラス越しに感じられる。
「悠人くん……」
そう呟くと、スマホを手に取り、彼にメッセージを送る。
『少しだけ時間を作ってほしいです。話したいことがあるの』
送信ボタンを押した瞬間、胸がきゅっと締めつけられるようだった。
数分後、返信が届いた。
『もちろんだよ。どこで会う?』
彼の返事はいつも優しい。それが今の私にはただ、痛い。
深く息を吐き、スマホをそっと置く。
その夜は、静けさの中で眠れないまま、朝を迎えることになった。




