「ビー玉」
私はアイドル。皆、私の美貌に酔いしれて、猿みたいにお金をくれるの。お陰で欲しいものは何でも手に入る。休日にはワイン片手にオペラ鑑賞もできるのよ?貢ぐ本人は木の実を齧っているなんて、男って哀れなこと。
今の私の彼氏は有名俳優。高い焼肉に誘ってあげたらホイホイついてきちゃって。お酒を飲ませたらはい、ゲット。簡単すぎて笑っちゃう。でも、彼の主演ドラマを横目に本物手元にいるのはとてもいい気分だわ。しばらくはこれだけでお酒が飲めるくらいにはね。
……ある日、私の熱愛報道が出ちゃった。生放送で彼がポロッと言ってしまったの。私は急いで尻尾を切った。
でもやっぱりお猿さんね。皆私を庇ってくれる。むしろ、自分にも狙えるかもって思ったらしく、私のお金がもっと増えちゃった。やっぱり美しいのは正義なのよ。
……写真を撮られていた。相手は私のファン。だって仕方ないじゃない!ホテルに行くだけで1000万よ?そんな美味しい話、誰だって食いつくに決まってる。でもきっと大丈夫。お猿さん達はまだお金をくれる。
だって私はまだ美しいから。
……
私の手元には1枚の紙。事務所から契約を切られてしまった。お猿さん……ファンの人も助けてくれなかった。皆が私にお金を出していたのは私の美貌じゃ無かった。
きっと、「アイドル」の私にお金を出してくれていたんだ。
でも、そうよね。ラムネ瓶のビー玉は喉から手が出るほど欲しくても、取り出せてしまったらゴミ箱に捨ててしまうもの。
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