45話 長い一日④ - 結 - 夢
誤字・脱字・文法の誤りがあったらごめんなさい。
ドアがノックされる。
今朝は眠りが浅いのか反応できた。
「おきてるぜー……」
思考回路が低速回転で運転中。
今なら、女性用の下着を「タオルです」と渡されたらそのままそれで顔を拭いてしまいそうだ。
まぁ、そんな冒険をしたら殺戮侍女に狩られるから勘弁願いたいが。
ドアが開く。入ってきたのはなんと。
「うんにゃ?ミレイがノックとは珍しい……。おー?あー……、スターシャも一緒かー……。うん、今日もいい感じに色っぽいねー。下着は何色?フリル?レース?ちなみにガーターあり?」
……。
もう一度言おう。
寝起きの俺は、異常に脳の回転が低速です。
「えと、そのご主人様、そういう質問はミレイのいないところで……」
「あいさー……」
「シーファ様!」
「あい、あい。なにかにゃぁ?」
「夢を見ました。それで、どうしてもシーファ様に伝えたくて……」
ミレイの様子がいつもと違う。
「…………お?」
こと、ここに至ってようやく俺の脳も回転を上げ始めた。
「空が真っ暗だったんです、それで地面がどんどん腐っていって……」
……。
暗い空に、大地の腐食。
その単語が暗示するのは……。
「それが、私の足元まで這いよってきたんです。それが無性に……」
ミレイがきつく目を閉じている。
予知能力の弊害だな……。
「それだけじゃないんです……」
「……何?」
正直、その言葉は予想外だ。
「実は、別の夢も見たんです」
「……」
「一人の女の子が泣いてたんです。逢いたい、逢いたいって……。それで、女の子の前にシーファ様に似た人が倒れていて……」
「……俺に似ている、だと?」
「はい」
どうにも縁起が悪いような……。
「ちなみに、どんな女の子だったんだ?」
「ええと、髪がすごく長いのが特徴で……」
……ヲイ、まさか。
「ミレイ、ちょっとおいで」
「あ……、はい」
ミレイを手招きすると、その頭に優しく触れる。
――干渉・実行。
ミレイの記憶に干渉していく。
ミレイ自身の精神や人格に微細な傷も残さないように、細心の注意を払い、その身の記憶領域に干渉していく。
……どこだ?
そんなに深い場所にはないはず。
……。
……あった。
やがて、目的の記憶をサルベージした。
それはミレイが見た夢の記憶。
……。
「……これは、流石におどろくな」
思わず、口から呟きが漏れた。
ミレイが最初に見た夢、そして髪の長い女の子。
もしやとは思っていたが、どんぴしゃだ。
しかし。
「……俺?」
……。
確かに、ミレイの記憶に残っている映像では、リリスが俺似の人物にすがり付いて泣いていた。
誓ってもいい、俺にこのような記憶は、絶対にない。
「……いったい、これは」
と、映像の中のリリスが慟哭した。
「何時の日か、必ずお主とは添い遂げてみせる。記憶を失おうとも、その魂は変わろうとも、お主には違いないのじゃ。だから、例えこの身が醜い闇に堕ちようとも必ず、必ずじゃ!……………………だから、待っておれ」
その小さな手を伸ばして、俺似の男との額に触れる。
「わらわは絶対に死なぬ!」
小さな、けれど力強い宣言。
「必ずお主と逢って、積年の想いを告げる!」
顔を寄せ、その唇を重ねあう。
「だから、待っているのじゃ。永劫の刻の中、絶対にお主を捕まえて見せる」
男の体が、微細な光の粒子となって虚空にとけていく。
死んだのだろう。
「遠き世に、永遠の刻の流れの中、再びどこかでめぐり逢おう。我が最愛の……」
……。
そこで映像は途切れた。
……。
「シーファ様」
「うん?」
「私の夢ですが、両方とも禍々しさや狂気を感じても、そこに邪悪さは感じませんでした……。むしろ、何かを求めるような愛惜の想いを感じたような気がします。だがら……」
何かを、迷うようにしながらも、言い切った。
「だから……。シーファ様は、ご自分が後悔をしない選択を選んでください」
何をとは言わない。
ミレイはただ「後悔しない選択をしろ」と言った。
きっと、その夢から感じた愛惜の想いに、何かを感じたのだろう。
だがら。
「……ああ。わかった」
そう返し、ミレイを抱き寄せた。
……。
そして、そのままスターシャを交えて、エルのいる厨房に向かった。
ミレイは俺の返答がお気に召したのだろう。
スターシャと俺の間で歩き、嬉しそうに両手を繋いでいた。
右手を母に、左手を俺に。
……。
その姿は、まるで両親に甘える娘のようで……。
……。
これは、長い一日の始まりに夢が告げた、小さな希望。
「……あの、その、ご主人様」
「ん?」
「今日は、その……、あ、赤の…………フリル、で、す……」
「……」
「……」
「ガーターは!?」
「…………その、してます……」
「……」
「……」
「( ̄ー ̄)b」
「っっっっっっ///」
ご感想・ご意見・各種批評・間違いの御指摘などをお待ちしております。
おつかれーっすwwwこれで一先ず魔界から来ちゃった編は終りやした!
長かった!!ひっっっっじょおーーーーに長かった!!
次話からは日常編!!コメディ全開(の予定)で書かせていただきます!!!
一応、応募の結果、①と②は書きます!同票だった③と④はわかりません!
では、また来週辺りにでもお会いしましょうww




