03話 ニートへの一歩?
誤字・脱字・文法の誤りがあったらごめんなさい
「まず、こち、こちらの、書類に、必要事項を、お、おか、お書き下さい!」
「えー、めんどくさ……、ハイ、カキマス (泣)」
俺の後ろで膨大な量の神力が収束していた。
……。
ここは、町の傭兵ギルドの受付だ。
エルの光の矢に撃たれた俺は気を失い、起きたら傭兵ギルドの受付にいた。
そして。
「働け♪(ニコッ)」
「…………エルってば、俺の奴隷だよね?」
「そうですが、何か♪」
「……ええと」
「ええ、女性の下着について真正面から質問してくる、ダメでHでニート様なご主人様の奴隷ですよ♪」
「すいません、本当にすいません、自分調子に乗ってました」
「働いて下さいますよね?」
「………………………………………………………………ハイ」
以上の会話が受付の前で繰り広げられた。
受付嬢は顔色が真っ青を通り越して真っ白だった。
可愛そうに……。
「え、えと、で、では、その、ギ、ギルドの、説明を、い、いた、いたします」
受付嬢が緊張と恐怖で震えている。
口調もカミカミだし。
……。
「すいません、あの娘の調子が悪そうなので私が代わりに説明したします」
受付嬢の調子があまりにも悪そうなのを見て、奥から年配の職員が出て来てくれた。
「まず、名前はシーファ様で?」
「はい」
「性別は男性、年齢は二十、出身は不明、住所は無し、で間違いはないでしょうか」
「はい」
「パーティ名はそちらの女性、エル様と二人で、『明けの明星』で?」
「まちがいないっす」
「はい、……分かりました。登録完了です」
職員の手元にあった機器から、ピコーンッ、なんて音が響く。
「では、こちらのカードがギルドカードとなります」
俺とエルに薄い金属性のカードを渡してきた。
「ギルドカードですが、初発行は無料ですが、再発行には銀貨二十枚がかかるので十分注意してください。では当ギルドの説明をいたします。当ギルドでは傭兵ギルドと冒険者ギルドの両方を兼任しています。ランクはSSからFまでの八段階、お二人は一番最初のFランクになります」
なるほど、ギルドカードに大きくアルファベットでFと描いてありやがる。
「ランクアップはクエストを受け、ギルドポイントを一定以上まで貯めていただければあがります。逆にクエストを失敗するとポイントが減り、ランクが下がることもあります」
へえー、ポイント制か
「クエストの受注については、あちらの掲示板にランクごとに分けて張り出されているので、それをご覧になった後、ここの受付にて受注の旨を伝えてください」
ふむ……。
「ランク分けですが、ご自分のランクより一つ上のランクなら受注可能です。クエスト終了後は、このカウンターに申し出て頂ければカードにギルドポイントの追加と報酬をお支払い致します。討伐クエストに関しては、モンスターや悪魔を倒すとその旨が自動でカードに記されますので、カウンターでカードを提示していただければ大丈夫です」
OK、把握。
「最後ですが、ギルドカードはご自分の身分証明書になります。国や都市、町などで住居を購入したり、身分証明書の提示を求められたときはギルドカードを提示することができます」
!
後を振り向くと、エルが苦笑の表情を浮かべていた。
……なるほど、住居の購入にはギルドの加入が必要だったのか……。
「以上です」
……。
日が暮れ、暗くなった道を二人で歩く。
「エルよ、最初から説明してくれれば自分の足で登録にいったぜ。しかし、いったいどこで身分証明書の情報を知ったんだ?」
「服屋の店主様です。あの方からこの町についていろいろお聞きしました。金融ギルド、郵便ギルド、商業ギルドと幾つかありましたが、傭兵ギルドを選んだのは、簡単に登録できるからなのと、ご主人様のお力を考えてのことです」
「……そうか」
……魔界にいるときからそうだが、どうにも俺の生活はこいつがいないと回らないな。
「ご主人様、ニートも結構ですが、たまには働いて下さい」
「……ああ。いつも苦労をかけるな」
やわらかい体を、優しく抱きしめてやった。
「あう~///」
本当に可愛い奴だ。
……ちなみに。
「今晩はもうこんな時間ですから宿に泊まりましょう」
どうやら、ちゃっかりと宿の場所まで聞きだしていたようだ。
今回は少し短いです m(_ _)m