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01話 魔界の門は、出るのが一苦労

誤字・脱字・文法の誤りがあったらごめんなさい

 魔界の大空を漆黒と純白の翼が煌く。

 俺――ルシファーと奴隷のラファエルの翼だ。

 俺は漆黒の十二翼、ラファエルは純白の六翼。


「ご主人様、少し宜しいでしょうか?」

 横を飛んでいた、ラファエルから声がかかる。

 本来、奴隷は主の許可がない限り口を利くことは許されない。

 しかし、俺はこいつの参謀としての能力を買っているため、ラファエルのみ俺に口を利くことを許している。


「なんだ?」

「今後の予定ですが。特になければ人間界に行きませんか」

「人間界?」

「はい」

 ……。

「えー、めんどくせぇ……」

「えい♪」

 ズドンッ!

 真横から聖なる光が俺を打ち抜いた。

「どわぁぁっ!」

 きりもみ状態で地表近くまで落ちていく。

 ……。


 流石の俺もこれだけきれいな不意打ちは食らうしかない。

 しかも、不意をうったのが、元・天界四大天使の一人である。

「死ぬわ!」

「流石はご主人様。並の悪魔なら千は消滅する威力を受けて、墜落するだけなんて♪」

「墜落しとらん、しかかっただけ!」


「で、どうでしょう?ご主人様」

 もう一度、聞いてくる。

「……えー」

 真横で、膨大な量の神力が収束する。

 !

「わかった、ちゃんと答えるから!」

 ……。

 ちなみに、余談になるが。

 こんな俺が魔王をやっていて、魔王の軍勢が崩壊しなかったのはラファエルが魔王軍を切り盛りしていたからである(笑)。


「……はぁ。一応聞くが、ラファエルはなんで人間界を選んだんだ?」

 それは、確かに疑問だ。

「隠居するなら、魔界でもいいし、最悪天界の片隅に不法入居するもいい……」

 うん、その通りだ。

「なんで?」


「はい。幾つか理由はありますが。まず第一に、おそらく魔界と魔王軍は崩壊します。魔界は元々完全実力至上主義、ご主人様は王としては最低でしたが、実力だけなら三界でも群を抜いていました。そのご主人様がいなくなったので、暫くの間魔界は群雄割拠の時代になるでしょう。私たちには居づらくなります」

「あー、……にゃる」

「次に第二の理由ですが、私たちは元・魔王とその奴隷です。天界は絶対に受け入れてくれないでしょう。見つかれば「生死問わず」で追われます」

「あー……」

「そして、第三の理由。……ご主人様はあまりにも強すぎました。歴代最強と謳われた先代魔王を単身で打倒し、主神の神殿ですら単身で攻め入れる程」

「うー、確かに……」

「天界・魔界、どちらにも私たちは危険視されるでしょう。なら、人間界しか居場所がありません」

「……」

 あまりにも理論整然と言われたので反論できない。


 ……。

 しかし、考えたのはほんの僅か。

「まっ、どうせ魔界に戻れなくても構わないし。いっか♪」

「はい♪」

 とりあえず、世界間移動を可能にするゲートに向かうことにした。



 ……なんというか。

「張られているな」

「張られていますね」

 とりあえず、ゲートに来たのだが。

 魔王軍の兵士が溢れていた。


「あれは近衛兵ですね。しかも将軍クラスもいます」

「サタンめ!」

 近衛ということは、真っ先に革命に賛成した派閥。

 つまり、サタンの部下だ。

 おそらく、サタンは俺らが界外逃亡すると読んだのだろう。


「くそう!たかが、魔王業をやめただけなのに」

「……一番の原因は、ご主人様が、戦争資金を横領したことと、城の魔宝具を強奪したからではないかと……」

「たかが、魔王業をやめただけなのに!」

 大事なことなので二回言いました。


「どちらにしろ、案は二つ。突破するか、新しいゲートを構築するか、です」

 どちらも、めんどくさいなぁ。

 よし!

「突破しよう!」


 ……。

「理由を聞いても?」

「気分だ!」

「…………………………………………………………分かりました」

「俺は、物分りがいい奴隷を持って幸せだ♪」

 不機嫌そうなラファエルにキスを一つしてやわらかい体を抱きしめる。

「あう~///」

 照れて頬を赤く染めてしまった。

 くくく、可愛いやつめ♪


「では、俺がまとめてなぎ払うから、ラファエルは取りこぼしを」

「わかりました」

 横で、ラファエルが神力の収束を始める。

 ……では。

 俺の右手に、漆黒の炎が出現する。

「行くぜ、……おらぁ!」

 ゴウッ!

 右手を振り、漆黒の炎で魔族兵をなぎ払った。


 上空からの不意打ちに、ほとんどの魔族兵が蒸発して消滅した。

 ついで、取りこぼしは。

 ヒュンッ、ボンッ!

 ヒュンッ、ボンッ!

 ヒュンッ、ボンッ!

 ラファエルが作り出した、光の矢で狙撃されて消滅していった。

 仮にも、魔王軍近衛兵が将軍込みで、僅か三分しかもたないとか……。

 ……元・魔王の俺が言うのもあれだが、本当に大丈夫か魔界?



 ……。

 目の前には、人間界へと続くゲートが鎮座している。

「よし、行くか!」

「はい」

 ここから始まるんだ、俺のニート伝説!


 と。

「そうだ。ご主人様、人間界で使う名前を考えませんと。私の名前やご主人様の名前はあまりにも有名すぎます」

 ……。

「あー、そうだな。…………よし、俺の名前はシーファで」

 いわゆるアナグラムってやつだ。

「ラファエルの名前も俺が決めてやるよ。…………よし、エルで」

「ご主人様、それはあまりにも安直な……」

「気にしない、こういうのは勢いとノリが大事だ」

「……はい」

 ……。

 なんというか、全てを悟った的な目をしているが気にしない。


 ゲートに飛び込む。

「では、人間界に向けて、レッツ・ゴウ!」



 完全な余談であるが。

 今回のことで近衛兵が全滅し、魔界の群雄割拠化に拍車をかけたようである。

 エヘッ♪

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