家族
空が黒く染まり、雨が地面に強く打ち付ける中
少女は走っていた。
「はぁはぁ…っく」
少女は今にも息が切れそうだったが、逃げるしか無かった、何故なら止まってしまったら今にも殺されてしまうから。
「追え!絶対に逃すな!」
1人の兵士が叫ぶ。
だが、その少女は本当に子どもなのか?と疑わせるような速度で森の中を疾走している。
「まあいい、この先は崖だ、これで悪魔の一族も終わりだろう。」
一人の兵士がそう確信した瞬間。
「おい!あいつ何をやっている!」
1人の兵士が叫んだのも無理はなかった。なぜなら少女は目の前が崖だというのに急に加速し始めたのだ。
そして少女は崖を飛んだ。
だが、神の悪戯か偶然か
バァン!
1人の兵士が打った弾丸が少女の胸を射抜いた。
少女の体が暗い崖の下へと落ちていく。
兵士たちは崖の下を覗いた。
「おいどうする?死亡確認はできてないが?」
「……大丈夫だろう胸を貫かれた上にこの高さだ、生きてはいないさ、それよりもこのことを早く報告しなくては、行くぞ」
そう、一人の兵士が言うと、暗い森の中へと兵士たちは消えていった。
それから、どのくらいの時がたったであろうか、少女はベッドの上で目が覚めた。
「ここは?」
「あら~やっと目が覚めたのね。心配したのよ~」
ベッドの横の丸イスに座った青色の髪の女が少女に話しかけてきた。
「目覚めたばかりで悪いんだけどさ、お嬢ちゃん名前は、どこから来たの、お父さんとお母さんは?」
女が優しい声色で少女に聞く。
だが、少女は
「……わからない」と、そう答える。
「えっ、自分の名前もどこから来たかもわからないってこと?」
「うん……」
それを聞いて、困ったわねという表情を青髪の女はする。しばらく考え込んだ後、女は「ちょっと待っててね」と言って部屋から出ていった。
しばらくすると部屋の外から何やら男の人と話し合っている声がする。
何十分かたったのち、女は帰ってきて早々にこう言った。
「じゃあさ、うちの子にならない?」
「えっ…」
少女は困惑した表情で答えた。
「いやだってさ~名前もどこから来たかも分からないんじゃん、だったらさ~記憶が戻るまででもいいから、うちの子になりになよ♪」
女は大はしゃぎでそう言った。
「いや…でも、迷惑かけるし…」
「いいって、いいって、うち子ども2人いるし今更1人増えたところで変わらないし。」
「それに、さっこれはある意味ではあんたのためでもあるんだよ。」
「私のため?」
少女は疑問に思い女へと問う。
「そう、あんたのため、だいたいこれから先行くあてもないでしょ。」
「うっ…」
そう言われると少女は言い返すこともできなかった。
「施設に行ってもいいけどあそこは環境悪いよ~本当に、だからさ、ねっ、うちの子になりなよもちろん家の仕事は手伝ってもらうし、ただで住ませることはしないけどね~」
少女はトントン拍子に進む物事にまだ少し困惑しながらもコクリと頷いた。
「よし、じゃあ決まり、じゃあさっそくだけど名前を決めなきゃね~ずっとお嬢ちゃんのままじゃいやでしょ何か希望とかある?」
「ない…」
少女はそう言った、だいたい自分には記憶が無いのだ、いきなりそういわれても困るのである。
「そっか~うーん、あ、そうだ!『アザミ』とかどう?あんたが倒れていたところの近くに生えていた花の名前!」
女はパンッと手を叩いてそう言った。
「気に入った…」
少女いや、アザミは小さく笑ってそう答えた。
「じゃあ決まりね♪」
彼女もそう言って微笑んだ。
「来なさいアザミちゃん晩ごはんができてるわ、みんなにあんたのこと紹介しないといけないし。」
アザミは彼女についていってテーブルの前のイスに座った。
目の前にはまだ4歳ぐらいの髪が白い女の子。斜め右にはだいたい自分よりも一つ年上だろうか、と思われる髪が茶色い男の子が座っていた。そして右隣にはさっきの彼女がその奥の誕生日席には彼女とだいたい同じぐらいの年齢の髪が黒い男の人が座っていた。
「はい、注目~これから私達の家族になるアザミちゃんでーす。」
「そして左からミュウちゃんとノアルと最後に私の夫ノールだよ」
「えー!私にお姉ちゃんができるの!」
といかにも天真爛漫、そんな言葉が似合いそうな少女ミュウが嬉しそうに言った。
「結局うちの子にすることに決めたのか」
と若干の呆れ顔でノールが言う。
「まっ、いいんじゃねーの。」
とノアルが言った。
「そういえば私の紹介がまだだったわね、私はオリンよ。これからはお母さんっとでも呼んでちょうだい。」
と忘れてたといった感じに自分の名前を語るオリン。
「さ、ご飯も冷めちゃうしいただきましょうか。」
とオリンが言う。
そして各々がテーブルに並べられた。食事を口にする。
そしてアザミも食事を口に運び一言。
「美味しい…」と口にした。
「でしょ~私の料理は世界一でしょ~」
「それ普通自分で言う?」
そう言うオリンに対してノアルが突っ込みを入れる。
「いいじゃないの、実際に美味しいのだから、それとも何お兄ちゃんはママの料理を食べなくてもいいの~?」
とミュウが笑って言う。
ノアルは少し照れくさそうにして、頭をかきながら
「ちっげ~よ、バカ」と言った。
ノアルがそう言った瞬間、家族全員が笑った。
その光景を見て、賑やかだな~と子どもながらに思うアザミなのだった。
食事が終わって、しばらくした頃アザミは母の手伝いをしていた。そしてアザミはこんなことを聞く。
「オリンお母さん、私ってどれくらい寝ていたの?」
「わぁ~アザミがお母さんって呼んでくれたうれしー」
オリンは嬉しそうにそう言ったが、そのあとすぐにアザミから向けられた冷たい視線に気づく。
「そっ、そうね~だいたい見つけてから10日ぐらいじゃないかしら。本当心配したのよ。」
その視線に気づいたオリンは、ごまかすようにアザミからの質問に応える。
「…ごめんなさい。」とアザミはオリンに謝る。
「あ、別に怒っているわけじゃないのあなたを心配しただけ。それよりもう寝なさい。いろいろあって疲れただろうし。」
オリンは、少し申し訳なさそうなアザミの頭を優しく撫ぜながらそう言った。
「分かった。」
アザミは少し嬉しそうにそう言うと、その足で寝室へと向かい眠りについた。
今後の作品作りの参考にしたいので、感想やここがダメとかいう批評文などを、送ってくれるとありがたいです。