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初陣

 来るべき時が来た。それしかなかった。僕は安らかなあきらめとともに天を仰いだ。

 巨大な何かが海からやってくる。戦いの時がやってきたのだ。

 校庭で過酷な体力づくりに僕は励んでいた。これが終われば家に帰って休める。それだけを心のよすがにしてただ耐え忍んでいたのに。

 あの二人組、ドウとキュンが嬉しそうに突っ走っていった。

 あの二人はもう楽しくて仕方がないらしい。

「ラリー君、航空隊はこっちよ」

 マリアが僕を呼ぶ。

「ファルコンは前衛だから先頭で飛ばないと」

 そう言われてぐったりとなる。

「航空隊は展開に空間が必要だからちょっと広いところに行かないとね」

 そう言われて僕はそのままマリアに手を引かれて歩く。校庭の端に人が集まっていた。どうやらあれはすべて航空隊なんだろうか。

「最初だから仕方ないけど、次は自分で行動すること」

 マリアがそう言ってにっこりと笑う。

 次があればいいなあ、僕は乾いた笑いを漏らす。

 そんな僕の気持ちとは裏腹に航空隊の皆さんは暖かく僕を迎えてくれた。

「ブレスレットに力を籠めるんだ」

 そう教えてくれたのは一番年長の男性だった。

 穏やかなその男性はまるで父親のように親身に僕に教えてくれた。

 そして見本をとしてブレスレットからそれを取り出した。

 そしてそのブレスレットを太陽にかざした。燦燦と輝きだしその光が焦点を結んでそのままその男性をくるんでいく。

 そして光が変形巨大な翼をもつ鳥のような姿になる。

「翼をすくめるとより早く飛べる」

 巨大な鳥のようなそれでいてどこか幾何学的で金属の光沢をもつその姿で急速に上空へと進んでいく。

 そして次々に他の人達も巨大な翼を広げ跳んでいく。

 一様に金属光沢をもっているが光を跳ね返すその色は様々だ。最初の男性のそれは金色をしている。マリアはどこか赤みを帯びた色合いだ。

 僕はそれをぽかんとしてみていた。しかし、僕もそっと自分の腕を上空にかざした。ブレスレットから燦燦と輝く光が僕を包んでいく。

 そして僕はいつの間にか柔らかなものに包まれていた。

 そして、指先に何かが振れる。腕を大きく広げるとふわりと浮遊感を感じた。

 足に何も触れない。そして僕はいつの間にか空中にいた。

 僕の周りに巨大な鳥のようなものが浮かんでいる。これは巨大な鎧なのだと僕は悟った。

「戦闘、ファルコン、出撃せよ」

 先ほどの男性の声だけれど、先ほどとは比べ物にならないくらい厳しい声がした。

 僕は巨大な影を感じる。そちらが僕の向かう先だと理解した。

 僕の操る巨大な鳥の翼がギラリと光る。それは刃の輝きだ。

 僕の目の前に突き出した嘴のようなものは槍のようだ。

 つまり敵がいたらこのまま体当たりをぶちかませということか。

 そして、僕は敵の姿を目視した。

 それは愛らしい少女の姿に翼をもった天使のように見えた。



 

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