戦おう僕のために
淡い光が僕の腕を包んだ。そして両腕に感じる重み。
僕の腕から翼が生えていた。
翼というかあの飛ぶための羽の形をしていた。
飛んできた腕をはらう。腕から手首が切り放たれた。
普通の人間の手と違って血や血管などは全く見えなかった。
背後でまるで獣の唸り声のような声だ聞こえた。
うなっていたのはドウだった。
ドウの着ている服はそのままに二の腕から指先まで黒い手甲で覆われていた。
キュンも両腕だけが黒い手甲に覆われている。
そして二人は伸びてくる腕をかいくぐりそれぞれの取り分の灰色の男の顔面を殴りつけた。
そして僕は腕を前方に伸ばしたまま最後の灰色の男に突っ込んでいった。
かすかな衝撃と人体パーツっぽいものが僕の脇を散乱していく。
そして僕のブレスレットは元に戻り、さっきまでは人体パーツに見えていたが地面に散っていたのは灰色の粘土のようなもので、それもみるみる溶けていく。
そして僕はしばらくそれを呆然と見ていた。
ドウとキュンが殴り倒した相手も服ごと溶けていっていた。
そして僕は自分の身体の異変に気が付いた。
「腕が動かない」
そう呟いた後僕の二の腕からものすごい激痛が。
あまりの痛みに立っていられなくなりその場に膝をついた。
同じようにドウとキュンもよろけている。
「やべえ、腫れてきた」
苦鳴のような呻き声。
「だ、誰か助けて」
僕は泣き言をいうしかなかった。
ドウが何とか公園から出て通りすがりの人を呼んできた。
そこからわらわらと人が集まってきた。
そして僕の二の腕はぽっきりと折れており。ドウとキュンも腕にひびが入っていたそうだ。
僕は骨折してあの二人はひびで済んだのはやはりもともとの体格の差なんだろうな。
集まった人々に担架で運ばれながら心中そう考えていた。
結局僕たちは入院することになり僕はミランダさんに頼んで入院のため身の回りのものを持ってきてもらった。
ドウとキュンは家族と住んでいるため家族が見舞いに来ていた。
結局あの灰色の男は何だったのか。
僕たちの説明を聞いたサイモンさんは腕を組みながら考え考え答えてくれた。
「あれはやはり敵だったのだろう、ブレスレットは敵に反応する。おそらくブレスレットが反応しきれないほどの強度の敵だったのだろう」
それを聞いてぞっとした。
僕たちが敵と戦えるのはブレスレットが反応して鎧や武器を扱えるからだ。そうでなければ最弱の敵すら倒せない。
多分あの時三体になったからこそブレスレットは反応し不完全ながら戦えたのだ。
僕たちの敵は手を変え品を変え僕たちを殺しにやってくる。
世界を守る前に僕たち自身を守らないと。
お見舞いの花を眺めながら僕はそう思った。




