殺人事件
僕は一応注意喚起はしておくという言質をアンソニーさんに取ってもらいアンソニーさんの自宅を後にした。
その日はそれ以外は普通の日だった。
翌日は昨日の快晴が嘘のような土砂降りだった。
学校は休みだったので僕は課題などをやりながらその日は一日室内で過ごした。
たまにはちゃんと作らないと。そう思いつつきっちりスープから作った。
その日は僕にとってはとても平和な日だった。
翌朝とても晴れ渡った朝に隣人のミランダさんが乱暴に僕の家のノッカーをたたいた。
朝食の準備をしていた僕は火を止めて僕は扉を開けた。
血相を変えたミランダさんは僕に詰め寄った。
「大変なことが起きたの」
ミランダさんはものすごく取り乱していた。
顔から血の気が引いていつもはきちんと結い上げている髪も適当にくくったままだ。それに着ているのは外に着ていく服じゃなくて普通の部屋着じゃないのか。
「さっき私も聞いたんだけど、サイモンさんが亡くなったの」
サイモンって誰だろう。
僕は思わず首をかしげた。
「ああ、君は知らないんだったわ、私の同僚よ、いつも隣の砲を担当している人なんだけど」
「急病か何かですか」
「殺されたのよ」
ミランダさんの声は震えていた。
殺されたと言われたが僕にも状況が読めない。
いや、ミランダさんの取り乱しようを考えると単なる殺人事件ではないのだろうか。
殺人事件に関わったことないけど。
「誰かに恨まれるようなことがありましたか」
ミランダさんは困惑している。まあこの 街では殺人は案外起きにくいのかもしれない。以前住んでいた町では身近ではいなかったけど風の噂程度には隣町のご夫婦が殺しあったとか、一つ向こうの町で兄弟が遺産目当てに殺しあったとかそんな話が流れてきた。
「殺人事件って珍しいですか」
「戦死は珍しくないけど、殺人は私が聞いた限り今回が初めてよ」
戦死は珍しくないんだと思わず落ち込んだが僕はミランダさんに詳細を聞くことにした。
その死体は明け方見つかったそうだ。
サイモンさんは割合体格のいい大柄な男性だったそうだ。
常々陸戦部隊に配属されると思っていたと言っていて周囲も実はそう思っていたと言われていたそうだ。
年齢もミランダさんと同年代。若いとは言えないが衰えるには早いあたり。
かなりまあ普通の人間ならケンカを売ろうなんて考えないような人だったらしい。
そのサイモンさんは港の近くに倒れていたらしい。
港には倉庫街がありサイモンさんは自分の店が持っている倉庫の様子を見に行っていたんだとか。前回の雨で雨漏りしたらしい。応急処置はしたが念のため見に行った、そうサイモンさんの奥さんは証言していた。
サイモンさんの遺体は複数の骨が折れたことによるショック死だったそうだ。
腕と肋骨がすべて折れ足首も折れていた。
どういう状況であればこんな死に方をするのかは不明だが事故ではないだろう。
残念ながら雨で手がかりはすべて流れてしまった後だった。
ぽろぽろと流れる涙をぬぐいながらそれだけの情報をミランダさんは伝えてくれた。




