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39.問題発覚

 宿屋でご飯。


 骨のついたままの豚の肋肉と干しリンゴの煮込み。リンゴの酸味がなかなかいい感じ。カディにパンをちぎってもらいつつ半分くらい食べた!


 パンをちぎって貰ったお礼は食べきれないお肉です、ちゃんと最初に切り分けてますよ。食べきれないのは学習してるからね。でも骨つき肉かじりたい、やっぱり昼間豚も買っとくべきだったかな? ここはカバラの豚より健康的な環境だし。


 どうもチーズと酒は共通してるけど、一般人はパンとか豆とか炭水化物、冒険者は肉! みたい。自分で獲れるものを食べてる感じ? 冒険者にとって肉は力のバロメーターなのか、見せるために食べてる気配もする。なんか塊で頼んで骨ごと引きちぎって手づかみで食べてたり。


「ではもう自分を買い戻したのですか?」

ファレルがミナに聞く。


 気づいたらうつらうつらしてて、椅子から落ちないようカディに片手で支えられてた。


「ああ。迷宮でだいぶ儲けた、というか本来私の取り分はないはずなのにロゼが分配してくれたんだけど。今のロゼとの契約が終われば自由だ、もっともロゼから離れる気はないけどね」


「お前らも人探し中(・・・・)だろ? なんでくっついてんだ」

「お二方と同じ理由(・・・・)ですよ」


 なんか四人が話してるんだけど、もう眠い。馬での移動は幼女には大変な運動なんです、疲れて食べたら眠くなる簡単構造なんです。


 ああ、ノアールに変わってフルーツ酵母をシャカシャカしに行かなくちゃ、俺の柔らかパン計画が潰えてしまう。


 次に起きたらミナのお胸でした。ちょっと揉んでいいですか? ダメ? 部屋は真っ暗でどうやら宿の部屋みたい。時間はわからないけど夜だ、脱走の時間だ。


 そっとミナの胸から抜け出してノアールに変わる。ああ、もう面倒なことになってるな。聖女なのはバレてもまあいい。だが、ノアールに変われるのは絶対バレたくない。ただでさえロゼで黒歴史築きまくってるのに!


 あのイケメン代表と兄貴代表みたいな顔した二人に絶対バレたくない!


「ん、行くのか? 夜明け前にはもどってこいよ……」

ミナが起きたのか、眠そうな声で声をかけてくる。


 ミナとファレルは俺を放し飼いにしてくれるから楽だ。


 窓からそっと忍び出て、『箱庭』経由でカバラに転移。どうしようかと思いつつもやることをやらねば。


 カバラに出たら大雨だった。それこそバケツをひっくり返したような土砂降り。そろそろ降ると言ってたし、すごい雨だとも聞いてたけど本当に凄い。ファレルの家の中庭から家の中に入るまででずぶ濡れになった。


 とりあえずフルーツ酵母の世話をして『箱庭』に戻る。あれじゃちょっとカバラで買い物はできそうにないので、昼間のうちに旅に必要な買い足しをして正解だった。


 雨が止むと、カバラのカラカラの大地に一斉に草が生えて綺麗だってファレルが言っていた。ちょっと楽しみにしている。


 風呂に入って着替える、いつでも入れるのはとてもいい。夕食はキヘラのスネ肉の煮込み、根菜類以外のものが早くほしい。


 とりあえず家の近くにキャベツを植える。適した場所がわかるノアールの【鑑定】は便利だ。鶏が新芽を食べてしまわないようにちょっと囲んでおこうか。


 昼間に作業をしたいなと思いつつ、計画に沿って土地を(なら)す。計画といっても植えるものの大まかなやつだけど。米と麦は広い範囲が必要だから最初に場所を決めた。


 稲は連作障害が起きないので一回決めたら大丈夫。どうせ手作業だし、棚田にしてみた。上の方が季節が遅いんでちょうどいいし。水温を調節――もう少し上から水を出して流れて来る間に少し温むのを考えよう。で、冷たいところには山葵(わさび)(せり)


 タンポポとヨモギ、なずな、はこべら、母子草、仏の座。ついでに食べられる草シリーズを(あぜ)()く。


 麦は連作障害があるので一回作ったら次は別なものを植えないとうまく育たない。こっちは小麦と大豆、もち米を交代に栽培する予定。麦は湿気を嫌うくせに、乾燥しすぎると立ち枯れ病を起こすわがままボディ。水田を挟むといいんだって。


 ……。


 もしかして脱穀とか粉にするのとか手作業? 畑作るのはいいけど、途中の管理が無理じゃないか? 同じ理由で牛と豚は諦めたわけだし。あれ? 


 何日めかにして脳内計画の問題点に気づく。米は食べたいのでいいとして、他は家庭菜園並みに縮小を余儀なくされる。農家のおじさんスカウトして来るべきだろうか。


 あれだ、農業に便利な魔法とか調べよう。


 家の方はだいぶ調べた。とりあえず資材を集めたいのだが、木材はカバラではバカ高いし、石材もちょっと理想と違うので考え中。ここにある石も家の壁にするのはちょっと。


 魔法で土を変えるにしても色々な石材を知らないと。王都についてって立派な家の石を触るプレイをして来るべきか悩むところ。


 ミナの隣でゴロゴロするわけにもいかないので、『箱庭』の部屋で過ごす。部屋を軽く掃除して、ランプを引き寄せて本を読む。ファレルの家から持ち出した建築関係の本だ。


 勝手に読んでいいと言われた一階にある本は本当にジャンルが雑多でびっくりする。二階にある本も見せてもらったけど、あっちはきちんと系統立てて収納されてた。ジャンルは主に魔法の歴史関係で埋まってたけど。


 うん、木の椅子じゃなくってソファが欲しいな。


 夜明け前に宿に戻ってロゼに変わり、ミナのベッドに潜り込む。ちょっとそろそろ暑いんですけど、お胸がありますからね。


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