その2
予定調和かのように僕たちは茂みを歩いている。
(山の方では無いんだな…)
町からそう遠く無い森をかき分けていく。薄暗くはなってきたが、まぁ、今日中には帰れるだろう。
「にしてもさ、こんなところに本当にあるんかよー」
佐々木はめんどくさそうに尋ねた。
「噂ではここら辺で毎晩、毎晩光ってたらしいぜ?」
「すげー!本物だー笑」
本物では無いだろう。佐藤からの高橋は無い事も真実になる勢いだ。
「なぁなぁ…嘘くさいし、しんどくなってきたよ。オレ」
佐々木はそう言って僕に愚痴を漏らした。
まあそうは言っても、特にやる事もない僕たちだ。今日は諦めよう。
「ほら…今そこに何か……ほら、あーもうやだ…」
あそこに違う意味でしんどそうな奴もいるんだから、それくらいでへこたれるんじゃない。
「んーはいはい、納得いかないけど分かったよ」
分かってくれて何より。
ここで文句を言うくらいならあの駄菓子屋にいた時に言ってくれ。
ともかく僕たちは歩みを進める。
「確かここら辺だぜ。池があるはずなんだけどな」
「でっかいのそれ笑??」
「まぁ池って言うくらいだからそうでもないんじゃないか?」
思ったよりも近いようで、そろそろ目的地周辺だそうだ。
ただ流石にここいらは、もはや人の通るような道ではない。
草は自分より高かったりするし、木の根を超えていくにはちょっとしたアスレチック気分になれる。
道無き道をかき分け進む。
すると間も無く
「ほらあったぜ!」
…マジで?
「うぉー笑スゲー!」
……本当に?
「ここまで歩いた甲斐があったぜ」
………
「うわぁーキレイー!」
…………キレイ??
草木を掻き分けそこに広がる景色は、
山の麓まであるんじゃないかと思うほど広く、
夕日を浴びてキラキラ輝く湖だった。
…今日の目的はなんだったけ?
ゆらゆら揺らめく水面に反射する夕焼けをみて僕はクエスチョンマークがついた。
が、しかし結果オーライ。そこに芽生えたのは達成感だった。
みんなで木の根に座り、夕日を眺める。