第11話『動き出す勢力達』
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振り仮名ミスを修正:かみはら→かんばら(午後11時27分付)
6月1日を前に、様々な勢力が動きだしてはガーディアンと小競り合いを行っていた。
アイドル投資家はガーディアンではなく、ジャンヌ・ダルクへ挑んだ事があだとなって壊滅したという。
超有名アイドルファンも、ネット炎上で悪目立ちをした事が仇となり、今までの件と含めて活動に規制を求める署名活動が行われる寸前まで追い詰められた。
他の転売屋勢力等も――自滅したと言ってもいい。悪目立ちをしようとSNSを使うネット住民は――語るまでもないだろう。
「ここまで追い詰められても、まだしぶとく活動をしようとは――どれだけ金を貢いだというのか」
一連のニュースを谷塚駅にあるセンターモニターで確認していたのは、レーヴァテインである。
彼も単独で様々な勢力と戦っていたが、そちらにも一連の決着が付いた。残るはジャンヌ・ダルクだろうか?
しかし、彼女はアイドル投資家勢力を壊滅させ、更には一部のまとめサイトを閉鎖に追い込んだ以外では大きな行動をしていない。
それらの勢力もアカシックワールドに参戦し、そこで倒されたという話がネット上で拡散している。
一体、ここ数日で何が起きたというのだろうか?
「しかし、1人で数億だろうと1兆円貢ごうか――それが単なる投資と見られるようでは、本当の意味でコンテンツを存続させたいとは――考えられないが」
一連のまとめサイトを探すまでもなく、自己解決をしたレーヴァテインはタブレット端末で別の情報を発見し――そこへ向かう事にした。
場所が草加駅なので、電車で移動する事になるだろうが。
その一方で、今回の事件を含めて超有名アイドル商法に何かあるのでは――と考えている人物もいる。
ARゲームの運営サイドは『それこそネット炎上を招き、向こうの思う壺』とスルーを続けているのだが。
ジャンヌは超有名アイドル商法を『コンテンツハザード』の元凶だと考えているのではないか――と。
だからこそ、あの行動に出た――という説がネット上では多く拡散していた。
しかし、それに疑問を持つ人物も存在している――と言うよりも、超有名アイドルの陰謀説やマッチポンプ説が絶対ではないと断言する人物もいるのに、意見が一つになるはずがない。
その一人が蒼空名城――ジャンヌ・ダルクに敗北後、密かに情報を収集し続けていたのである。
彼は独自に神原颯人に接触しようとARゲームメーカーのビルへと向かうが、そこに神原はいなかった。
どうやら、不在にしているとの事らしい。特に用件は話さなかったが、向こうが神原の名前を出されたことで何かを察し、即座に対応したのも不思議に見える。
「ジャンヌ事件の犯人は――神原だと思っているが、違うのか」
蒼空はそう思ったのだが、口には出さない。ビルを出てからも、その疑問は消えずにいる。
ジャンヌ・ダルクは創作の題材としても用いられテイル事が多く、知名度や注目度と言う点でも都合がいいだろう。
それこそ、有名な歌い手や実況者の名前をもじったりするより――特定芸能事務所のアイドルを名指しするよりも、ネット炎上と言う個所でも都合がいい。
実際、ジャンヌの発言を歪め――自分達の都合のよいニュースにしてしまうケースが多く、そこがシナリオ通りと考えているのかもしれない。
芸能事務所のアイドルが絡めば、事務所からのクレームが来る事は避けられないし、下手をすればマスコミを敵に回し――自分の発言がブーメランとして戻ってくるだろう。
だからこそ、真犯人はジャンヌ・ダルクを選んだ。存命の芸能人でなければ、そこは織田信長でも徳川家康でも――それこそ坂本龍馬でも問題はなかった。
しかし、彼女は――あえてジャンヌ・ダルクと名乗っている。モチーフになった小説はあるかもしれないが、それでも彼女がジャンヌを選んだのには理由がある可能性が高い。
「それに――?」
ビルを出た辺りでセンターモニターを目撃し、そこではパワードフォースのブルーレイボックスのCMが流れていた。
特撮番組として、そこそこの人気を持っている『真戯武装パワードフォース』だが、それはマニアックな人気に過ぎないだろう。
現実で有名な特撮をモチーフにして事件を起こせば、炎上案件となるのは間違いないはずなのに――それが逆に草加市への観光客を増やしている気配さえある。
一体、何処で認識を誤ってしまったのか――ネットに踊らされる様な事は危険だと言うのに、何故に同じ事は繰り返されるのか?
まるで、今回のARゲームを巡る事件も過去のVRを巡る事件と――そう考えていた時、何かを閃いたかのように驚く。
「そう言う事だったのか――VRゲームで起きた事件を忘れるな的な事件、それが今回のジャンヌ・ダルク――」
パワードフォースとジャンヌを繋ぐものは見つかった。後は――ジャンヌが何者なのか?
蒼空はギャラリーの集まり始めた一角へと向かう。そこにはアカシックワールドが始まろうとしており、更には――。