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真戯武装パワードフォース  作者: 桜崎あかり
第2部

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第10話『アカシックワールド』


 午後2時、草加駅近辺に到着した斑鳩いかるがだったのだが――その目の前に見えた人物は、何とアークロイヤルだったのである。

「アークロイヤル――いずれ、直接対決が避けられないと思ったけど――」

 斑鳩の方は、いずれ戦うとは思っていたらしい。

詳細なバトル仕様が不明な点が多いのだが――自分よりも上のレベルのプレイヤーを撃破する事がスコアアップに求められるのだろう。

しかし、アークロイヤルは斑鳩と戦う気がなかったようにも見える。むしろ、本来の相手は――。

「戦うと言うのであれば――!」

 バトルを避けたかったアークロイヤルだが、向こうが戦う気と言う事もあって応じる事にした。

下手にバトルを回避すれば敵前逃亡と言う事でネット上で炎上する事は、目に見えている。

 ギャラリーの方は、予想外と言う具合に増えていた。どれ位かと言うと、1分に10人は視線を向けている状態である。

下手をすれば、通行規制が入りそうなレベルで集まる可能性も否定できない。そこで、運営は緊急システムを起動させることを決定した。



 午後2時5分、草加市内のアカシックワールドの運営が入っている高層ビル。

1階と2階はショールームと言う扱いだが、3階~5階がアカシックワールドの運営及びサーバー等が入っていた。

草加市内に高層ビルは複数ある中で、このビルが一番異色だったのは耐震ビルだった事、台風や洪水等の自然災害に対応した環境――。

 これに関してはゲームメーカーでここまで行うのか? 疑うのも無理はない設備や環境が出来ている。

ARゲームのサーバー自体が洪水や台風対策が出来ていないと設置許可が下りない――ある意味でも厳しい環境基準が設定されていた。

太陽光発電を含めた自然発電設備も必須な事に加え、交通渋滞等の様な事態に対応できる事も条件に加えている。

「これはまずいな――下手をすれば、騒動になりかねない。それに、周辺道路でも混雑が出る可能性も――」

「道路で混雑でもでたら、ネット炎上では――」

「こうなったら奥の手を使う。各スタッフに道路の封鎖指示を――」

 運営のモニタールームでは既にスタッフが色々と動いているようだが――初の非常事態と言う事もあって、慌てているような印象も感じる。

しかし、このような事態になる事を想定して訓練も続けている事もあり、大きなトラブルが起きているような様子はない。

「該当エリアの道路に封鎖フィールドの展開を!」

 運営の責任者と思わしき人物が指示をすると、草加駅近辺の道路を表示したと思われるモニターに変化が起きていた。

そのモニターでは、何やらバリア的なフィールドが高速で展開されていたのである。

『これより、ARカスタムフィールドシステムを展開いたします。フィールド展開の対象となる道路は一時的に封鎖されます。お手数ですが、該当する迂回ルートをご利用ください――』

 展開前には電子タイプの道路標識で『道路閉鎖中』と表示されており、その表示が出ている標識から20メートル離れた場所からバリアと思わしき物が展開されていた。

バリア展開装置はARゲームサーバーを管理している高層ビルに設置されており、バリアの展開などもそこにある指令室で行われている。

 バリア展開と同時に該当エリアではアナウンスが流れ、車両関係の迂回指示や該当エリアへの侵入を控えてほしいというお願いが流された。

あくまでもお願いではあるのだが、車両関係は強い口調で迂回を求めている辺り、ARゲームが原因で自動車事故が起こって欲しくないと言う事も含まれているのかもしれない。

一般人の住むマンション等がフィールドエリアに入る事はないようにしてはあるのだが――。



 午後2時7分、該当エリアでギャラリーの一部がざわつく。アナウンスの件もあるのだが――。

一般人は怪獣映画で怪獣に潰されるのでは――と言う様な展開で草加市から離れているようにも思えた。

しかし、こうした一般人の行動と思われている物は、大抵が芸能事務所Aの超有名アイドルの宣伝や知名度上昇を狙ってのフラッシュモブなのは明白である。

それもあってか、一部のざわつき程度で済んでいるのは――不幸中の幸いか?

「なるほど――こういう手段を使うのか。芸能事務所の連中は、殺人事件や大規模テロ以外であればライバル潰しに何をしてもいいと言うのか?」

 慣れているとはいえ、芸能事務所が使う炎上マーケティングの手段には――呆れるしかなかった。

さすがに殺人事件や暗殺の類、大規模テロを起こしては日本その物の印象さえ悪くしてしまう為、逆に芸能事務所だけが潰される。

 だからこその――フラッシュモブ等を雇ってのネット炎上を行うのだ。まとめサイトによる人心掌握や煽り商法、レッテル貼り等もその一環――。

まるで、パワードフォースで行われた事件を再現しているような気配さえ感じられる――と言うよりも、向こうもパワードフォースを炎上させる為に、こうした手法を使っているのだろう。

「やはり、元凶を潰すべきなのか――コンテンツ市場でリアルウォーを起こそうとしているような連中を」

 レーヴァテインはギャラリーが集まっている場所をチラッと見るのだが、そこで足止めされているような時間はない。

芸能事務所をリアル炎上のような手段で潰そうとすれば――それこそ逆効果なのは、ガーディアン等も分かっているはずだ。

それをすれば大規模テロを計画しているとして摘発されるのは当然であり、更には二次被害も考えられる。それこそ、芸能事務所側の思う壺だろう。

 


 午後2時10分、お互いにガジェットのARゲームアプリがロックされている状態は解除された。

5分前にはアプリを起動してARアーマーとガジェットを呼び出そうともしていたが――緊急ロックがかかって起動できなくなったのである。

 その原因は――周辺道路の閉鎖やフィールドの展開、二次災害が出ないような環境にする為の準備だった。

これだけの準備をしなければ、リアルフィールドを使用したARゲームを大規模に展開できないのである。

その様子は、まるで特撮やドラマのロケを突発で行う様な物と例えられるような――超展開だったのは間違いない。

「さっきのロックは?」

 アークロイヤルはガジェットのロックに関して事情が呑み込めなかった。

今までは問題なかったし、最初にジャンヌ・ダルクと戦った際もロックされる様子はなかった事も理由の一つだろう。

「ARゲームでは、二次被害等が想定されるようなバトルになる場合、道路閉鎖を含めた緊急対応を行う事がある――」

「道路閉鎖? ゲームにそこまでの事をするなんて――」

「それが本気だからこそ、ARゲームを導入しようと言う自治体は少ない。草加市や足立区の様な事例は特殊と言う事なのよ」

「まるで――」

 アークロイヤルは斑鳩の話を聞き、別の意味でも驚いているようでもあった。

ますますパワードフォースをリアルで――。もしくは、アカシックワールドがパワードフォースとリアルコラボしていると感じさせる流れにもなっている。

「ARゲームには危険が伴う。生半可な考えでプレイすれば――怪我をするわよ」

 斑鳩はアーマーを装着完了し、生成されたロングソードを構えた。

対するアークロイヤルも戦闘準備を完了し――いよいよバトル開始を思わせる流れとなったのである。

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