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第7話『反撃のヴェールヌイ』その3


 あのフィールドではジャンヌ・ダルクとヴェールヌイが姿を消してから、ギャラリーが一気に減っていた。

しかし、先ほどの様な不正が確認される事もなかったので――もしかすると、炎上マーケティングだった可能性も否定できない。

あるいは――本来炎上させるべきターゲットは別にいて、ジャンヌは想定外だったとか――。

『しかし、こちらとしても真の目的がある!』

 ジャンヌは、こう言っていた。現在の行動は真の目的を達成する為の手段にすぎないのか?

それとも、最初からARゲームでの盛り上がりが目的なのか?

それだと――ジャンヌも炎上マーケティングを行っている事になる。

彼女は炎上マーケティングや超有名アイドル商法に関しては否定的な気配だったはず。

「どちらにしても、ジャンヌの目的にはフェイクニュースが多い気配がする。本当の事は――」

 コンビニで買いだしを行った後、アークロイヤルは別のアンテナショップへと向かおうと考えていた。

そして、マップ検索をタブレット端末で行おうとした矢先――。

「あの人物って――」

 アークロイヤルが発見した人物は――明らかに周囲には目立つような賢者のローブが特徴のヴェールヌイだった。

しかし、アークロイヤルが追跡をする事はない。

「まずは――」

 アークロイヤルが取りだしたのは、ARガジェットではない普通のタブレット端末だ。

彼女が調べ始めたのはジャンヌ・ダルクである。一連の動画を見ただけでは、ジャンヌの真実を知ったことにはならない。

単純な知ったかぶりで一連の事件に挑むのは、後悔を生むだろう――そう考えて、様々な動画サイトを調べ始めた。

さすがにまとめサイトは情報の信用性がない為、敢えてスルーを決め込む。



 一方で、ヴェールヌイが向かっていた場所は――草加駅近くのアンテナショップだった。

アンテナショップと言っても、ARゲーム専門の場所ではない。どちらかと言うと、パワードフォースのグッズ専門店である。

何故、ここへ訪れる事になったのかは分からないが――アカシックワールドをプレイしていて、何かに気付いたのか?

「パワードフォース――」

 ヴェールヌイが驚くリアクションはなかったが、特にコスプレ入店禁止とは入口に書かれていないので、そのままの格好で入店する。

さすがにローブは邪魔なので、ローブだけは別エリアのARゲーム専用コンテナに格納する事になったが。

ARゲーム用のコンテナは預ける物をコンテナの中に収納したら、その後にコンテナが動きだし――近くのアンテナショップへ転送される。

 地下には、このコンテナをコンベアーかレールかは不明だが――ルートが作られているらしい。

なお、このルートは大きなトンネルになっており、その大きさは全長5メートル超え――地下鉄のルートが作られているのと同じ。

草加市内で地下鉄が走るような箇所はない為、このトンネルは洪水時の排水等に利用され、災害防止に一役買っているようだ。

 入店と同時に気になったのは、歴代パワードフォースのパネルが展示されていることである。

草加市はパワードフォースのロケ地としても有名で、聖地巡礼者も多いのだ。

ヴェールヌイは聖地巡礼者の多い事は知っているが――この作品の事とは全く知らなかったようである。

展示品以外では、アンテナショップ限定のグッズや現在放送中の最新作の食玩、フィギュア、CD等も取り扱っていた。

速い話が、パワードフォースに特化したアニメグッズ専門店と言えるかもしれない。



 ある程度巡回し、彼女はパワードフォースの歴史を知る事になった。

特撮番組としても知名度は高く、特撮ファンだけでなくパワードフォースだけの固定ファンも存在する。

それに、地域一体で応援しようと言う姿勢も市民の反応を見れば、一目瞭然だろう。

「これだけの事を――ARゲームは、どうして実現できないのか」

 冷静な顔をして、さりげなくメタ発言をする。パワードフォースは特撮であり、ARゲームとはジャンルが違う。

しかし、コンテンツと言う事では先輩に該当するかもしれない。それを踏まえると――彼女は納得できないようだ。

 パワードフォースの変身ベルトを初めとしたなりきりグッズを見ていると、ヴェールヌイはある事に気付き始める。

「もしかして――?」

 しかし、それを明白に証明する証拠もないので――これは仮説にすぎない。

アカシックワールドの設定、モチーフ、その他の一部システムにパワードフォースを再現しようとした形跡があるのだ。

さすがに、ジャンヌ・ダルクの行動原理も同じように思えたが――あちらは違う可能性が高いだろう。

「本当にパワードフォースを参考にして生み出されたのか――アカシックワールドは」

 思う部分はありつつも、ヴェールヌイはアンテナショップを出る事にした。

彼女は――コンテンツ市場はARゲームだけでなく他のコンテンツも共存していく道がある可能性を考え始める。

超有名アイドルやフジョシ勢力の様な炎上要素を排除するだけでは、本当の意味ではジャンヌの言っていた『コンテンツハザード』が終わったとは言えない可能性も――。

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