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プロローグ
空を見上げると、悲しいくらいに綺麗な青空が広がっている。
思い返せば、思い当たる節が全く無いわけでもない。
誰もが一度は思ったことがあるだろう。
『漫画やアニメのような異世界へ行ってみたり、大逆転の人生を送ってみたい』と。
中学生の時からのオタクである俺もまた然りだった。
今現在俺の最大の特技である剣道も、刀を使うアニメに影響されて始めたのがハマっただけである。
『俺の剣の腕で天下を取る』などという厨ニ病としか言いようがない意味の分からん野望も抱いちゃったりしていた時代もあった。
そして社会人になった今、幸か不幸かその大量の夢や野望の中から「一部だけ」が叶っちゃった訳で…。
前髪をぐしゃっと掴み一言。
「よりによってなんで異世界に来ちゃうんだよ…俺は」