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10月2日 トンネル

 今回の行先は、一度入った者は二度と出ることができないという噂のある「幽霊トンネル」だ。このトンネルは数年前に使われなくなったきり、放置されてきた。そしていつの間にかその手のマニアの間で、入れば二度と出ることができないトンネルとして噂されるようになった。

興味を持った私はそのトンネルに行ってみることにした。


 曲がりくねった山道を車で走った。人気が全くない道だった。

トンネルに着くと、私は手前の道路に駐車した。アスファルトの割れ目から雑草が生い茂っている。前にも誰か来たことがあるのだろう、空き缶やタバコの吸い殻が落ちていた。

そして目の前には例のトンネルがあった。意外と長いトンネルのようで、奥は真っ暗だ。

私は持ってきた懐中電灯を片手にトンネル内に一歩踏み入った。頬に冷たい空気を感じる。肌寒い。

 私は懐中電灯を前方へと照らし、奥に進んだ。

 静寂の中、私の足音だけが響いている。壁面を照らすと、所々ひび割れていた。これといっておかしなところは無い、普通のトンネルだ。私は少し落胆していた。

 足下を電灯で照らすと無数の虫が蠢いていた。ここには私と虫だけが存在している。

 どうしよう、引き返そうか……。そんなことを考えていたとき、ふと違和感を感じた。グニャリ、グニャリと足下がやわらかい。

電灯で照らしてみると、いつの間にか地面が赤黒くなっていた。まるで内臓の表面のようだ。さらに、トンネルに入った時は、寒さを感じでいたはずだが、今では生温かさを感じる。

 私は嫌な予感がして、急いで来た道を戻り始めた。すると突然、地面が大きく揺れ始めた。前方を見ると、黒いシャッターのようなものが降りてきていた。

 閉じ込められる……。私は間一髪でシャッターの下を潜り抜けた。

 息を整え、一体何が起こったたのだろうと振り返ってみた。


 暗闇の中、大きな赤い目が私をジッーと見つめていた。


 私は固まってしまった。そして理解した、この奥には、何か巨大な怪物が潜んでおり、私は先ほどまで怪物の口の中に入り込んでいたのだ。

瞬間、私は絶叫し、トンネルの入り口まで振り返ることもなく全力疾走した。そして、トンネルを抜け、車に乗り込み、トンネルから逃げ去った。


 なるほど、確かに一度入ったものは二度と出てこられないのかもしれない。私もあのまま気が付かずに進んでいたら、怪物の餌になるところだった。

 しかし、誰がこのような噂を流したのだろう? 噂さえ無ければ、誰もこんなところに入ってみようなどとは思わないだろうに……。




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